第四十五話「城の皆への報告」
翌朝の朝食時、カイゼル様が食堂に集まった全員を前にして言った。
「………………報告がある」
城の主要な者が揃っていた。
ゾルク様、ダンクル氏、ミア、ヴァル、竜族の長老ヴェルデ様。
「……ルナが、子を授かった」
食堂が、一瞬——完全に静止した。
次の瞬間、ゾルク様がテーブルに突っ伏した。
「……っ、……っ……!!!」
「ゾルク、落ち着け」
「落ち着けない……!! 三百年待った……!!!」
竜族の長老が天を仰いだ。
「……大聖霊よ……千年の悲願が……!!」
ダンクル氏が静かに厨房に引っ込んだ。
三秒後に「産後の料理の研究を今から始める!!」と叫びながら鍋をひっくり返す音がした。
ミアが私の手を取った。
「……おめでとうございます、ルナ様」
「ありがとうございます」
「……衣装も考えます。今後のために体が楽な設計に」
「早い……」
私は少し笑って、カイゼル様を見た。
彼は全員の反応を静かに見ていたが——その表情が、やわらかかった。
「……うるさい奴らだ」
「でも嬉しそうですよ、皆さん」
「……ああ」
カイゼル様は短く答えて、ゆっくりと私の隣に座った。
「……ゾルク。泣くな。見苦しい」
「……うるさい! 俺は今日ばかりは泣かせろ!!!」
食堂が笑い声に包まれた。
第四十五話 完
お読みいただき、ありがとうございます!
城全員の反応が想像通りすぎて書いていて楽しかったです笑
ダンクル氏の「産後の料理の研究を今から!!」と鍋をひっくり返すの、大好きです。
ゾルク様が「三百年待った」と言うのも……長い付き合いなんですね。
次回もお楽しみに!ブックマーク・評価お待ちしています✨




