第四十一話「人間界と魔界の橋」
人間界からの荷物が、初めて正式なルートで城に届いた。
木箱には、ルーセル王国産の小麦粉と香辛料、そして乾燥ハーブが詰まっている。
添え状には、新神殿長からの短い言葉があった。
「この先、どうかこれからも、両界の橋渡しをよろしく」
私はその手紙を読んで、少し笑った。
「……橋渡し、ですか」
「……俺もそう思う」
カイゼル様が後ろで腕を組んでいた。
「……お前は最初、掃除をするためだけにここにいると思っていたが」
「……それは今でも主な仕事です」
「……うるさい。聞け」
「はい」
「……お前がいることで、魔界と人間界の関係が変わった。俺も変わった」
珍しく長い言葉だった。
「……俺は、長い間、人間を嫌っていた。弟を失ったから。だが——お前を見ていて、人間の中にもこういう存在がいると知った」
「こういう存在……?」
「……掃除が好きで、料理が好きで、誰も見てないところでも手を抜かない。そういう、馬鹿正直な存在だ」
馬鹿正直と言われた。
でも、どこか褒め言葉に聞こえたのは気のせいだろうか。
「……ありがとうございます、カイゼル様」
「……礼はいらん。ただ——これからも、ここにいろ」
「はい。もちろん」
その日の荷物を厨房に運びながら、私はこっそりと顔をほころばせた。
第四十一話 完
お読みいただき、ありがとうございます!
「馬鹿正直な存在」と言いながら、それが一番好きだと伝えているカイゼル様……最高ですよね笑
新神殿長からの手紙も、ちゃんと和解の形になっていて、スッキリした気持ちになれましたか?
次回もお楽しみに!ブックマーク・評価お待ちしています✨




