第三十三話「お前に伝えたいことがある」
終わりが近い、という予感がしていた。
物語の、ではなく——何かが変わる予感。
カイゼル様の様子が、ここ数日、わずかに違った。
執務の後、いつもより長く庭に出ている。
食事中、私を見ているような気がして顔を向けると、すっと目をそらす。
「……カイゼル様、何かありましたか?」
ある夕方、思い切って聞いてみると。
「……明日、少し時間を取ってくれ」
「はい」
「……話がある」
それだけ言って、カイゼル様は部屋に戻った。
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翌日の夕刻、カイゼル様は塔の最上部に私を呼んだ。
魔界の夕暮れは、今日も美しかった。
紫と橙の光が混じり合い、二つの月が地平線から昇り始めている。
「……来たか」
「はい」
カイゼル様は城壁に手をつき、しばらく外を見ていた。
私も黙って、隣に並んだ。
「……俺は、言葉が得意ではない」
「……知っています」
「……だから、うまく言えないかもしれんが」
「大丈夫です。ゆっくりどうぞ」
また、沈黙。
風が吹いた。
「……俺は」
彼は空を向いたまま言った。
「貴様が好きだ」
夕焼けの中に、その言葉が溶けていった。
私は少しの間、その言葉を心の中に落として、しみ込ませた。
「…………はい」
「……なんで泣きそうな顔をしている」
「……嬉しかったので」
「……」
カイゼル様は一瞬、言葉に詰まった。
そして、ゆっくりとこちらを向いた。
「……俺も、同じだ」
第三十三話 完
お読みいただき、ありがとうございます!
「貴様が好きだ」——来ましたーーー!!!
ここまで長かった分、この台詞の重みは格別ではないでしょうか。
カイゼル様の「なんで泣きそうな顔を」への「嬉しかった」も、最高のルナちゃんです。
次回は本格的な告白シーンが続きます!お楽しみに!
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