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第三十一話「魔王と最高位聖女の協定」

人間界との関係が、大きく変わり始めた。


 グリフィス長官の失脚後、光神殿は再編期に入った。

 新たな神殿長には、改革派の若い神官が選ばれ、カイゼル様との対話の申し込みが来た。


「……新神殿長からの使者です。魔界との結界管理のについて、正式な協定を結びたいと」


「……珍しい」


 カイゼル様はその書状を読みながら、少し表情を変えた。


「……受ける。ただし、条件がある」


「どのような?」


「协定書に、ルナ・アーシェルを魔王の番として明記すること。彼女が魔界に留まることは、魔界と人間界の連携のためでもある——そういう解釈を人間界に公式に広めてほしい」


「……カイゼル様、それは」


「お前の名前を、人間界で正式に守る手段だ」


 私はきょとんとした。


「……私のために、協定を?」


「……協定は本物だ。ただ、どうせやるなら有利に使う」


 カイゼル様はそっぽを向いた。


「……あと、ダンクルに言ってくれ。明日から厨房の物資をルーセル王国から正式ルートで輸入できるようにする。いい素材が手に入るかもしれんぞ」


「それは嬉しいです!!」


「……喜ぶのはそっちか」


「だって料理の幅が広がりますし——でもカイゼル様、本当にありがとうございます」


 私は彼をまっすぐ見た。


「……毎回、私のことを、こんなに」


「…………うるさい」


 カイゼル様の耳が赤かった。


第三十一話 完

お読みいただき、ありがとうございます!


協定を結ぶと言いながらちゃっかりルナちゃんの立場を守る理由にする——カイゼル様の策士ぶりと愛が同時に出る場面、大好きです笑


ルナちゃんが「厨房の素材!」に先に反応するのも相変わらずで安心しますよね。

次回もお楽しみに!ブックマーク・評価お待ちしています✨

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