第二十六話「グリフィスの嘘が暴かれる前夜」
ルーセル王国の状況は、日を追うごとに悪化していた。
神殿の浄化機能が完全に止まり、王都の下水や井戸に瘴気が混じり始めた。
病人が増え、悪い噂が広まり、民衆の間でグリフィス長官への不満が膨らんでいた。
しかし長官は、それを全て「魔王の仕業」として発表した。
「……とんでもない嘘をつくものだ」
報告を聞いたカイゼル様は、珍しく表情に感情が出ていた。
「魔界の瘴気が人間界に流れているのは事実だが、それを止めていた結界を無力化したのは神殿自身だ。それを俺のせいにするとは」
「……どう対応されますか?」
「証拠を揃える。神殿内部の記録——結界石の管理台帳、聖女の能力測定記録、全てだ」
ゾルク様が頷いた。
「内部に協力者も確保しています。グリフィス長官に不満を持つ若い神官たちも何人か」
「よし。ルナ」
「はい」
「貴様は何も動かなくていい。これは俺たちがやる」
「でも——」
「お前が人間界に顔を出せば、長官に利用される。今は待て」
カイゼル様の目は、静かだが真剣だった。
「……わかりました」
「……信じるか。俺を」
その問いは、見た目より重いと思った。
私は真っ直ぐ彼の目を見た。
「はい。信じます」
カイゼル様は一度、深く頷いた。
「……必ず、お前の名誉を取り戻す」
第二十六話 完
お読みいただき、ありがとうございます!
カイゼル様の「信じるか」という問い、熱かったですよね……!
そしてルナちゃんのまっすぐな「はい」も。
この二人本当にお互いへの信頼が深い……。
次回はいよいよグリフィス長官の嘘が暴かれ始めます!お楽しみに!
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