表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

23/50

第二十三話「テオの没落、始まる」

人間界からの報告は、その後も続いて入ってきた。


 カイゼル様のスパイ網は、想像以上に広かった。

 彼はそれを「魔界の平和維持のための情報収集」と言っていたが、実のところ私の元婚約者の動向もモニタリングしていたようだ。


「……テオドール・グラメンについて」


 ある夜、カイゼル様が報告書を机に置いた。


「彼の商売が、次々と失敗しているようだ」


「……テオが?」


「ああ。まず投資した鉱山が枯れた。次に立ち上げた交易業が不正発覚で閉鎖。今は神殿の信用を使って貴族向けの寄付集めをしているが、神殿の評判自体が落ちてきているため、集まりが悪い」


 私は少し考えた。


「……彼が神殿に依存する生き方をしていたから、神殿の評判と連動して落ちていく、ということでしょうか」


「そういうことだ」


「……それは」


 正直、憐れに思う気持ちも少しあった。

 でも——不正を行い、人を傷つけながら積み上げてきたものが崩れていくのは、自業自得でもある。


「……カイゼル様は、なぜ私に教えてくださるのですか?」


「…………お前が知っておくべきと思ったからだ」


「私のために調べてくれたんですか?」


「……そうではない。情報として有用なだけだ」


 目が泳いでいる。


「……ありがとうございます」


「礼はいらん」


 カイゼル様は書類を片付けながら言った。


「……ただ。お前が昔のことで苦しんでいるなら、それはもう終わっていくと、知っておけば良い」


 私は胸のあたりが温かくなるのを感じた。


 カイゼル様は不器用で、正面から優しくするのが苦手だけど。

 こういう形で、ちゃんと私のことを思ってくれている。


第二十三話 完

お読みいただき、ありがとうございます!


テオの没落が始まりました。でもこれはまだ序章……。

カイゼル様のさりげない優しさ、伝わりましたか?「お前が知っておくべき」という言い方が彼らしくて大好きです。


次回は神殿の問題が本格化してきます。お楽しみに!

ブックマーク・評価お待ちしています✨

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ