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第二十二話「人間界からの知らせ」

カイゼル様の執務室に、スパイからの報告書が届いた。


 私はその場に同席していたわけではない。

 ただ、午後にカイゼル様の顔が珍しく険しくなっていたので、ゾルク様に事情を聞いた。


「……人間界のルーセル王国で、神殿の結界が弱まっているらしい」


 私は手を止めた。


「結界、ですか?」


「光神殿が管理している、国全体を守る浄化結界だ。それが、ここ数ヶ月で急速に劣化しているという」


「……それは、大変ですね」


「ああ。結界が崩れれば、人間界にも瘴気が流れ込む。カイゼル様は魔界の主として気にしておられるようだ」


 私は、静かに俯いた。


 光神殿の浄化結界。

 私が十年間、毎朝祈りを捧げ続けた、あの黄金の光の鍵。


「……その結界、もしかして私が担っていたのでしょうか」


「……何?」


「神殿では、私だけ浄化業務をしていました。他の聖女は奇跡の発現に専念していて、日常的な結界の維持管理は……」


 ゾルク様の顔色が変わった。


「……お前が城を出てから、結界の劣化が始まったのか?」


「わかりません。でも、もしそうなら——」


「……カイゼル様に報告する必要がある」


---


 カイゼル様は、報告を聞いて少し黙った。


「……お前が結界を維持していた可能性があるのか」


「あくまで推測です。確認しようにも、神殿には戻れませんし——」


「戻る必要はない」


 カイゼル様はきっぱりと言った。


「……だが、人間界が危機に晒されるのは放置できん。別の手を考える」


「……ご迷惑をおかけして申し訳ありません」


「お前のせいではない」


 その一言は、いつもより少し早く出てきた。


「……神殿のせいだ」


第二十二話 完

お読みいただき、ありがとうございます!


ルナちゃんが神殿の結界を担っていたかもしれない……という話が出てきましたね。

神殿はそれを知っていたのでしょうか?知らなかったのでしょうか?


これからじわじわとグリフィス長官の悪事が浮かんでくる伏線になります。

次回もお楽しみに!ブックマーク・評価お待ちしています✨

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