オークの災難
「俺様、ついにオークキングに進化したブー!」
「すごいブー!さすが兄貴だブー!」
一体の巨大なオークを中心に、10体ほどのオークが街道の道端で騒いでいた。
「このオークキングの力があれば、俺達の長年の夢、姫騎士でくっころが出来るブー」
「「「いやっほうブウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウ」」」
姫騎士を倒し「くっ、殺せ!」と言わせることは、オーク種族の憧れであり夢であった。
「兄貴!一生ついていきますブー」
「俺もブー!俺もブー!!」
「兄貴は俺達の希望の星ブー」
大騒ぎである。
「ダンジョンを探しに行くブー、そこに獲物の姫騎士を誘い込むんだブー」
「夢への第一歩ブー」
「早速行くブー」
「ジメっとしたダンジョンがいいブー」
「それいいブー、萌えるシチュエーションブー」
「ヌメヌメのスライムとかいると最高ブー」
「触手いっぱいのワームもいいブー」
「想像するだけで、ご飯3杯はいけるブー」
いろいろダメな集団だった。
その時、兄貴と言われていたオークキングが何かを感じる。
「ちょっと待つブー、なにか近づいてくるブー」
オークキングに進化した彼は、オークセンスで危険探知が出来るのだ。
だが亜音速で飛んでくる巨大物体には、まったくの無意味だった。
謎の白い巨大な物体に軽く跳ね飛ばされたオークキングは、空中で高速きりもみ回転をしながら、オークキングに進化するための辛く苦しい修行の日々等の記憶を思い出していた。
たまに弟分のオークたちと馬鹿騒ぎをやって楽かった時を思い出して涙が流れる。
『これが走馬灯ってやつブー、くっころしたかったブー、あんなに頑張ったのにブー、くやしいブー・・・』
そして彼の意識は暗い闇へと落ちていった。
オークキングの弟分のオークたちも、白い物体の後に飛来した赤、青、黒の巨大な物体に次々と跳ね飛ばされていき、彼らの意識もオークキングと同じ暗い闇へと落ちていた。
「何かを轢いた気がする、豚っぽい悲鳴が聞こえた」
「オークだったキルね、キルキルキル」
「ドロップアイテムあるかなぁ」
「オークなんかどうでもいいですの。一刻も早くお風呂で汗を流したいですの」
ひどい暴走集団であった。
オークたちは、白く何もない空間で目を覚ました。
きょろきょろ周りを見るオークキングとオーク達。
こんな場所は、彼らの記憶にはなかった。
「ここどこブー?」
それに美しい女性の声が答える。
「ここは死後の世界です」
すると、目の前に神々しく美しい女性が現れる。
「私は転生の女神リボーン」
割と直球な名前の女神様だった。
「貴方達、善良なオークは不幸な事故によって死んでしまいました」
彼らはくっころという夢に邁進するあまり、日々を鍛錬と修行に明け暮れ、人を襲った事が無い珍しいオーク達であった。
「やっぱり死んでたブー」
「もう少しで夢が叶いそうだったのにブー」
「残念無念ブー」
オークたちは全員ガクンと肩を落とす。
「魔物とはいえ、あまりにも可哀想なので、私は貴方達を転生させてあげることにしました。その際に一つだけ願いを叶えようと思いますが、何かありますか?」
そう女神がオーク達に微笑み問いかける。
「本当ですかブー?」
「それじゃ姫騎士でくっころしたいブー」
「それが俺たちの夢ブー」
オーク達の願いは一つであった。
「本当に、それでいいのですか?」
女神が確認するように問いかける。
「間違いないブー、よろしくお願いするブー」
兄貴と言われていたオークキングがそう答える。
「「「「お願いするブー」」」」
女神は一瞬悩むが決断する。
「解りました、では貴方達に幸あらんことを」
次の瞬間、オークたちは光の粒となって消えていった。
目覚めたのは、ジメジメしたダンジョンの中であった。
体中が痛い。そしてひどく息も上がっている。
視点がいつもより低い。
「ここは?」
高く美しい声が自分の口から紡ぎだされる。
違和感を感じ自分の手を見ると、無骨だった手が細く華奢なものになっていた。
くるくる回したり、ぐーぱーぐーぱーしてみる。
その手は自分の思い通りに動いた。
そのまま視点を下にすると白銀の鎧に包まれた、大きく美しい双丘があった。
周りを見ると、自分と同じような格好をした美しい人間の娘達が、息も絶え絶えに倒れていた。
「な・・・何が起こったの?」
思考がつながらない、何かが間違っている。
口調も変わってるし!
背中に冷たい汗が流れる。
しばらくすると通路の角から、凶悪で、そしてよく見慣れた顔の魔物たちが現れた。
その顔を見た時に彼女理解する。
『姫騎士でくっころ』
・・・会話って難しいなぁと元オークキングの姫騎士は思った。
そして
「くっ、殺せ!」
と叫んでいた。
一章目突入・・・って、こんな話からかよと、自己ツッコミ




