同じ想いを抱く者
帰り道
俺と織姫は再び手をつないで帰って行った。
「なあ、織姫、手を繋ぐのって恥ずかしいからやめないか。」
「いいえ、やめません。昴と手を繋ぐと何となく温かい気持ちになるんです。」
「なんか、照れるな、おい。むっ、あれは流れ星。」
恥ずかしがって空を指差す。するとそこには本当に流れ星が幾つか流れていた。
「あれ、ずいぶんのろいですね。もしかしたら、本日二度目の戦闘かもしれませんね。」
「・・・」
二人は不吉な予感がし、顔を見合わせる。
そして、その予感は的中する。流れ星が止まったように見える。
「覚悟はよろしいですか、昴!」
「ああ、いいよ、織姫!」
そして、二人の足元は崩壊する。二人も崩れ落ちていった。
一面星空の世界。俺と織姫は再び「魔法使いの薬園」にやって来た。
「凍えよ、凍えよ、凍えよ、「氷上の鷹!」
声と共にいきなり遠くから三羽の氷の鷹がこっちに来た。
「形態変形・ベガ!」
俺は織姫を剣状態にし、防御壁を展開させながら、三羽の鷹を捌く。捌かれた鷹は光の粒子になって散っていった。
「ほう、少しはやるようだな。」
声が近づいて来た。そして、俺たちの目の前にとある男が現れる。
「あんたは俺を殺すつもりなのか?」
俺は男に問う。その問いに答えようと男は口を開いた。
「それは君の方針次第だ。」
「方針?」
俺は言葉の意味がいまいちわからなかったので、男に問う。
「言葉の説明が足りなかったようだな。君がこのルールに則って、参加者の魔法使いを殺すつもりなのか、それとも、ただ逃げるのか。そして、もう一つ、主催者だろうと思われるシリウスを倒すのか、ということだ。」
俺は男の説明を理解し、考えていた。
俺は大切な人と俺に襲いかかる者がいれば倒す、襲いかからない者には攻撃しないという決断をした。しかし、俺はそれでは何の解決にもならないことに気づいた。期限までに最後の一人だけが生き残っている状態でないと、この島が滅びてしまう。そんなのは俺も嫌だった。5年間過ごしたこの島を失いたくない。今では、種子島は俺の故郷なのだから。それにできれば誰一人だって殺したくない。だったら俺の方針は決まった。主催者だろうと思われるシリウスを倒す、それだけだ。
俺はそれを伝える。
「俺はシリウスを倒す。」
そして、しばらくの沈黙。ただし、俺と男はお互いに目線で気迫をぶつけ合った。やがて、男が口を開いた。
「どうやら、君の覚悟は本物のようだ。私もシリウスを倒す方針でことを進めようと思っている。私には最愛の一人娘がいる。娘を人殺しの娘にはしたくない。だから、私は誰も殺さず、私も死なず、この闘いを終わらせたい。ということで、できれば共闘したいと思うのだがどうだろう。」
「俺はそれで構わない。」
俺は男の誘いにのった。誰も殺さず、自分も殺されず、この闘いを終わらせたいという想いは俺も男も一緒だった。
男が話を続ける。
「しかし、共闘する際、足手まといになってもらっては困る。足手まといがいたのでは、シリウスを倒す確率も、生き残る可能性も減ってしまう。そこで君の強さを見たい。だから、君には私と闘ってもらう。強さを見極めた時点で君と共闘するかを決める。もし、君が共闘するに値しないならば、やも得ない、君を殺す。勝手な行動をされても困るからな。」
「その言い分だとおっさん、あんたの方が強いこと前提みたいだけど、俺の方が強いってことを今から証明してやるよ。」
「若いな、坊や。さっきの攻撃が私の力だと思ったら大間違いだ。私も証明しよう、君の弱さを、大人の強さを。魔術回路接続!」
男は先っぽに宝石のついた杖を召喚する。
それから、再び訪れる沈黙。しばらく経ち・・
「そういえば、自己紹介がまだだったな、私の名前は、迎坂冬夜。」
「俺の名前は、黒金昴だ。」
お互いに名を名乗る。そして、冬夜は杖を、俺は剣を構える。戦闘のゴングは鳴ったのだった。




