生き残れたらその場所で
「凍える刃よ、悪しきを貫け!氷刄斬!」
冬夜は杖から数十本の氷の刃を召喚し、俺へと飛ばす。
「はあああああああああ!」
俺は走りながら、剣から防御壁を展開させながら、刃をはじき、冬夜との間合いを詰める。そして、俺は左脚を蹴って、両脚を宙に冬夜を剣で斬りつけようとする。
しかし、それを読んでいたかのように冬夜は後ろへバックステップする。
「床よ、氷に染まれ、氷の世界!」
さらに冬夜は杖から青い光を灯し、俺の脚の着陸地点を凍らせる。
つるんっ
凍った床に着陸した俺は脚を滑らせ、無様に転ぶ。
「いてっ。」
それをみた冬夜は、今かとばかりに魔法を発動する。
「これで終わりだ、昴。集結せよ、氷の欠片。放て氷の魔弾。氷結弾!」
冬夜は杖から氷の魔弾を俺に向かって放つ。
俺はこの攻撃に対応できない。冬夜もチェックメイトと言わんばかりに微かに笑みを浮かべる。しかし、対応できないのは俺だけ。たしかに、俺だけで闘っていたならば、俺はここで終わっていたかもしれない。しかし、それは俺だけだったらの話。でも、俺にはベガ、いや、織姫という相棒がいる。
「形態変形・織姫!」
俺は魔剣ベガを織姫へと変える。
「頼む、織姫。この攻撃を防いでくれ!」
「了解です、昴。」
織姫は凍っていない床に立ち、俺の前にいる。そして、巨大な防御壁を展開し、氷の魔弾を防いだ。
「ほう、人間と剣の両方になれる武器ならではの闘い方だな。よく使いこなしている。」
「そりゃ、どうも。」
俺と冬夜は元の位置に戻る。
「形態変形・ベガ!」
俺は織姫を再び剣へと変える。
そして、すぐに俺は冬夜に向かって走り出す。
「凍えよ、凍えよ、凍えよ、氷の鷹!」
冬夜は杖から5羽の鷹を召喚する。
「うおおおおおおおおお!」
俺はそれらの動きをすべて見きって、剣に防御壁を展開させながら、それらをすべて捌く。それらは光の粒子になって消えていく。
そして・・
キイーーーン
俺はガラ空きになった冬夜を魔剣ベガで斬りつけようとするも、冬夜は杖から氷の盾を召喚し、攻撃を止める。本来、盾も魔法でできているため、剣に展開させた防御壁で吹き飛ぶはずだが、冬夜が盾を二重に召喚し、吹き飛ぶのを防いでいるのだ。
「うおおおおおおおおおお!」
「うおおおおおおおおおお!」
俺はひたすら攻撃する。剣道で鍛えた素早い振りが魔力でさらに磨きがかかり、人間のそれを超えていた。しかし、その攻撃すらも冬夜は止める。素早い盾の召喚によって。
素早い振りと素早い盾の召喚の勝負。気力が先に切れた方が負ける。
「うおおおおおおおおおお!」
「うおおおおおおおおおお!」
さらに激しくなる攻防。しかし、俺の腕がもう限界に達していた。
そこで俺は考える。この攻防で今すぐにでも勝てる方法を。頭に思い浮かんだのは二つ。
一つは冬夜の盾の召喚を超えるスピードで剣を振ること。
一つは冬夜の召喚する二重の盾を吹き飛ばすだけの技を編み出すこと。ただし、殺すわけではないので、「果てしなき星々の光」は使わない。
俺の状態を考えるとこれ以上素早い振りをすることは困難だ。それに冬夜がそれをも超えるスピードで盾の召喚をするかもしれない。
だとすると、盾を吹き飛ばすだけの技を編み出すという方法を考える方向で事を進める方が良さそうだ。
俺は剣を振りながら、ただ思いつくままに剣先に魔力を集中させていく。
「うおおおおおおおおおお!」
「なんだ、この力は。」
冬夜は今までと違い、きつそうな顔をしている。
剣が光を放っている。わかる、力がみなぎるのが。そして、頭に入ってくる。盾を吹き飛ばす方法が。
「防御斬刃!」
俺は防御壁で使うエネルギーを剣先に集中させて、盾を斬った。
すると、盾は吹き飛び、光の粒子となって消えていく。
そして、すかさず峰打ち。
もう一度言うが、この戦いは殺すためのものではない、ただ、互いの実力を見るためのものだ。
「うっ、ぐっ・・」
冬夜は腹を抱えている。痛みはあるらしい。冬夜は話を続ける。
「まさか、君がここまで実力があるとは思わなかった。どうか、仲間になって欲しい。」
「ああ、いいぜ。よろしくな、冬夜さん。」
俺は冬夜の誘いを受け入れた。
すると、冬夜がある一枚の紙を渡してくる。
「今度、そこに書いてある場所で一度、作戦会議をしよう。シリウスを倒すための会議だ。もし、昴君、君に仲間がいるなら、その仲間も連れてきて欲しい・・」
と、冬夜が言ったところで、「魔法使いの楽園」が崩壊し始める。
「では、私たち二人とも、生き残れたら、その場所で。」
冬夜の言葉が終わると同時に空間が崩壊する。




