第5話 来たの金太郎
ホテル三階では萌ちゃんの捜索が続いていた。
「おいっ!」青龍が部屋の前にいた悪霊を吹き飛ばした。
―ぎゃぁああーーー
「あっいたいた、もえちゃーん!」
和華が萌ちゃんのそばに走って行く。
―タタタタタタタッ
テレパシーで静華に報告が入る。
『お姉さま、萌ちゃん確保、怪我もなく無事です』
『ホントッ!よかったぁあーじゃパトカー呼ぶから』
『はい、お姉さま』
萌ちゃんの口にはガムテープが貼られ顔は涙と鼻水でぐちゃぐちゃ
椅子には座っていたが手足も縛られていたため散々な状態で
すっかり体も冷え切っていた。
「和華さん、これ着替え・・・毛布も・・・」
「おじさあーん、うわぁーあああん・・・」
萌ちゃんは安心したのか泣き出した。
「あら、おじさんのこと、わかる?」アキラは聞いてみた。
「うん」
「あら覚えてたの?」
「うん」
『そっか、助かりたい一心だったのかもしれないけど萌ちゃんスゴイ能力だなあ・・・』
「うん、おじさん迎えに来たよォーもう大丈夫だからね、まず着替えようね、和華さんこれウェットティッシュどうぞ」
和華は顔を拭いたり足を拭いたり、とにかく全身順番に拭いて綺麗な服に着替えた。
「もう大丈夫だからね、がんばったね萌ちゃん、おねえちゃんがついてるからね、こんなおじさん、なんにも当てにならないからね、うんうん」
後から到着した青龍と剣一郎じいさまも、おだやかな顔で周囲の悪魔に警戒を続けている・・・
「なんにもって・・そんな・・・あっそうだ、
萌ちゃーん、おじさんねぇえ水とカルピス、クリームパンとサンドいっち、ばくだんおにぎり持ってきたよォー、どれが食べたいかな?」
アキラは現場に来る途中、道の駅でオシッコしたついでに回転式の自販機でいろいろ買っていた。
靴下を履かせてもらいながら萌ちゃんが言った。
「おにぎりぃー」
「おーおにぎりね、やっぱりなぁーおじさんもそうじゃないかなぁーって
おもってたんだよぉーハイどうぞ」
お腹がすいていたんだろうか、まだ涙目の萌ちゃんはおにぎりを食べだした。
『こんな暗い部屋で怖かったろうに、よくがんばった、よく、よく無事でいてくれたよ……』
一緒に突撃してきた青龍と、おじいさん守護霊もニコニコして
見守っている。
和華
「あーもえちゃん。このおじさん、どうして泣いてんのかなぁ?
おかしいねぇー、このおじさん」
萌ちゃん
「もしゃもしゃ・・うん(^-^*)もしゃもしゃ」
アキラ
「そういう和華さんだって泣いてるでしょうううぅ」
和華
「ばかぁ何言ってらっしゃるの、泣くわけないでしょ、グスッ」
「あはは」
「アキラおじさん、萌ちゃんオンブして」
「はい、和華さん喜んでぇーあはは」
一階、ホテル前で静華が待っていた。
「あらあら萌ちゃん、よかったねぇー今度おばちゃんち
遊びにおいでねぇーあら、おにぎり、いいなぁー おいしい?」
「うん(^-^*)もしゃもしゃ」
サイレンを鳴らさず、パトカーが続々と到着してきた。
和華が質問した。
「お姉さま、悪魔は?勝志郎さまは?」
「悪魔の奴・・・倒せなかった・・・勝志郎は今、病院、大丈夫よ」
「えっ?何で?逃げられたの?」
「違うわ今は倒せない理由が出てきたのよ・・・あとで、話すわ」
「うん」
静華の父、城一郎は腕を組み、目をつぶっていた。
そして・・・気のせいか裏山の方から何かが迫ってくる・・・・
足音が響いてくる。
―ドカドカドカドカドカドカッ
「かつしろうーっ、しずかさまぁーっ!!」
国道反対側から4メートルはある大きな山犬にまたがった男が
スゴイ勢いで迫ってきた。
「本宮金太郎、只今参上っ!!はぁはぁはぁ・・・」
「あっ!ばか、金太郎っ!もういいんだ帰れっ!ったく誰に聞いたんだか」
「ハァハア・・・静華様、鬼はどこですかっ!」
集合したパトカー、警官たち、萌ちゃんの両親、救急隊員・・・
みなビックリしている・・・
「おい・・・」警官が同僚に指さした。
「えーっ!なんだよあれっ!」
現場にいる皆がざわつきだした。
とにかく、巨大な狼犬と場違いな相撲取りみたいなおじさんは、みんなに見られた。
「あーああーあー薙刀なんざぁ振り回して、遅いよぉ、もう終わったんだ
帰れ帰れ、お犬様見られちゃったじゃないか、マズイぞ、もう帰れっ」
「えっ(´Д`)あれ・・・遅かった・・・勝志郎さまは大丈夫ですか」
「おー大丈夫だ、今はとにかくマズイ、もう帰ってくれ・・・」
「ハッ、では、御免っ!!」
「あーもう、シィーッ声がでかいっ!」
「えー失礼っ!つかま・・・」
「うぁああっー!うるっせっつてんだろうがーっ!!」
静華、本気で怒鳴る。
「デリカシーのないやつは嫌いだ」
遅れてきた金太郎は顔を真っ赤にして山犬様にまたがって来た山道を
トボトボと戻っていった……
そして村では、私、式の歓迎会、時刻は22時を回っています。




