第2話 悪夢
そして物語冒頭、警察署からの緊急出動となった。
車のスピードが下がる・・・現場が近い。
署に静華がスマホで連絡を入れる。
「パトカーは矢来・道の駅で全車待機してください、何があるかわかりませんので我々が切り込み突入します一応、救急車も待機願えますか?」
「了解しました」
それを受けてパトカー全車に無線が入った。
「国家・特命捜査官より入電、全車、矢来・道の駅にて待機願います、指示が有るまでレベル4待機です、分担してホテルに続く道路は一般車両の封鎖作業願います」
静華たちは山深い国道沿いのホテルに到着する。
セリカのエンジンを切り、静華と和華は柴刀を片手に、ゆっくり車から降りた。
柴刀とは防御と攻撃、戦と破壊を司るシバ神の意思が入念されている
万能の武器。
目の前にホテルがそびえ立つ。
「なんだラブホテルとかじゃないのか」式の予想は外れました。
静華が言う
「バブルの遺産よ、失敗したリゾートの・・・もうボロボロね」
現場は暗く到底、誰かが居るようには見えない。
「不気味ね、和華はアキラと萌ちゃん探してちょうだい」
和華さんは、刀を携え答えました。
「はい、お姉さま」
「了解」
真っ暗な中、マグライトの灯りが周囲を照らす。
「父上、ここの、どのあたりかしら?」
静華の守護霊・父上の榊原城一郎が答える。
そして
いつの間にか和華の守護霊・剣一郎じいさまも現着した。
城一郎が言う
「それが・・・何か妨害仕掛けられてるな、ハッキリせん」
静華
「もうーナニソレ・・・」
「いや此処なのは間違いない、悪霊・悪魔だ静華」
元リゾートホテル廃墟、二人が目を凝らすと
建物一階には黒い影が、ぎっしりとひしめき合い
駐車場には見たことも無いような悪霊の妖怪変化達がうろつき回っていた。
「和華・アキラ・おじいさま、妖怪変化が満杯、気を付けるのよ、
タイガっ!」
「ハイ」待機していた黒龍タイガが車から瞬間移動してきた。
「お前は先頭切って突入してくれ情け容赦はいらん。
フルパワーで妖怪ども殲滅してくれ頼んだぞ」
「ハッ!お役に立てる時が来て嬉しいです。お任せください」
突入班の二人は・・・
「アキラおじさん私から離れないでね、イザ・ヤァ……」
「はい和華さん」
テレパシー和華
『お姉さま、たぶん三階の部屋、光が見える・・・』
得意の遠隔透視術です。
『頼んだぞ和華、アキラ』
『はーい』
『了解』
和華さんは柴刀を抜き、正面玄関からホテルに入っていきます。
「エイッヤア!」
「うわぁー」
「うるさいわよ、アキラおじさん」
「し、失礼しましたあー」
「キャハハハっ」
「結構荒らされてますねー」
走るアキラは首から下げた御守りに手をかけた。
静華が守備の根回しを始めた。
「青龍」
「はい」
「剣一郎じいさまと共に和華たちをバックアップ1階の雑魚どもから順番に上階へ移動、悪魔妖怪・殲滅して頂戴っ!」
「心得ました」
「あと神明灯でホテル全体照らしておいてくれる?」
「はい心得ました、では早速……」
―シュッと剣一郎と青龍の姿が消え黒龍タイガとは別方向に行き行動を開始。
周辺がボンヤリと明るくなってきた。
ホテルの廊下や各部屋も薄い緑色の光が発生した。
能力のあるものなら所々に青龍の神通力で現れた蝋燭を見る事が出来ただろう……
悪霊たちでも力の弱い者たちは光を避けるように
陰に身を潜めた。
廃ホテル一階周辺には、まだまだ大量の悪霊・妖怪が居て
静華に狙いを定め待ち構えている。
誘拐された『萌ちゃん』は囮としか思えなかった。
「始めるか、竜巻斬り・エイッヤアッ!」静華は鮮やかな回転斬りで
目につく悪霊を殲滅。
―ズドドンッ!
妖怪と悪霊たちが一遍に斬られた。
『ギャァアアアーーーーッ』
『グゥウウウーッ』
『アギャーーーッ』
切っては刀を鞘に戻しホテルの周囲を歩き進む。
居合の技だ。
―カチッ
ホテル内部では
黒龍タイガが先頭切って階段を駆け上がり廊下を進んで行く。
―ドゴンドガンドガンドガンーッ!
「許せ、妖怪たち」
『アーーーッ』
『ギャッ!』
『ウギャーーーッ!』
さしずめホテルの部屋と廊下を竜巻のようにぐるぐる暴れ回りながら進む、まるでレールのない機関車のようだった。
建物の中から和華の掛け声と物音が響き渡りだした。
「イザ・ヤァアッ!」
『グゥアオオオーッ』『ギャァアアーッ』
後から和華の背後を守護する剣一郎じいさまがつぶやく
「哀れな奴らめ」
廊下を青龍に乗った和華の守護霊・剣一郎じいさまが走り抜け
雑魚の悪霊たちを霊剣タイプの柴刀で乱切り、もしくは青龍の覇気にて消滅、握り潰し、浄化して回り、先に和華とアキラは三階へと急いだ。
じいさま・怒った、和華の攻撃から逃げていた悪魔を片っ端から
斬り倒した。
「誘拐などしおって、ばかものーっ!」
青龍から飛ぼ降りて走り出した。
気合の入った祭師の力強い演舞だ。
―ヒュン!ブンブンッ!フォンブンブンブンッ!・・・・
―ドカンッ!ドンッ!ザザァーッドカンッ!ドカンッ!
悪霊たちの断末魔が聞こえ消滅していく。
『ぎゃぁーっ!』
『ゲオーォーオーッ!』
先を行く和華とアキラが三階へ走る。
「アキラおじさん悪魔に気をつけて」
アキラは、走っていて、もう息が上がってきた。
「ハアッハアッ、はいっありがとふぅござ、あっ噛んじゃった」
「ふござってぇーキャハハハハッー」
「あははっ」
一階、入口周辺に悪霊たちが集まり黒い瘴気が立ち込み静華を包むように動き出した。
―ズ、ズザーーーーーーーーッ
『久しぶりに乱切りの練習に丁度良いわ』
心の中でつぶやきながら状況を確認して柴刀を抜いた。
ゆっくりと息を吐き、気を整える。
「はぁーーーーーーーーっ」
―スラリッシャン!
乱切りとは、心を無我の色・形に整え、敵に対し大きく股を開き、刀は頭上に構え刃先は敵に向け素早く刀を振り回しながら敵を斬る。
股・膝・足首から繰り出す『氣』を丹田に貯めて、全身を駆けめぐらせ肩から肘・手首で倍増された氣による念力波がレーザービームのように刀先から発射され周囲に居る悪霊を斬り消滅させることができた。
『ハチマキ・・・ないや』
目をつぶって第三の目で周囲に応りを付け刀を振る。
「おー居たいた、覚悟ーっ!イザヤァッ!オンッ」
―ブンッブンッ
「アビラッ!」
悪霊たちは斬られ次々煙のように消えていく。
―シュウーーー
『ん?いやにあっさりと・・悲鳴もなしか変だな』
そこへホテルの中から一人の男が歩いて出てきた。
「城一郎・静華姫、久しぶりだな」
『うぐぅ・・す・・すいません静華さま・・』
心の中で本宮勝志郎がつぶやいた。
呼ばれた静華は刀を構え相手を見据えた。
「なにぃい!!勝志郎か?!」
勝志郎の後ろにもう一人、悪魔がぴったりと彼の背中に貼り付いていた。
城一郎が言う
「静華、あれは悪魔、俺を死に追いやったアイツだっ!」
「えっ!父上・・・」
「間違いない、あの容姿、角、牙、憑依の形状あいつだ」
榊原家の分家・本宮家。
そこでは国宝、神器が保管管理されている。
本宮の勝志郎は静華が幼少の頃、榊原家に養子に貰われてきて慣れない生活に心閉ざしていた時、木刀をおもちゃにして
ずっとそばにいて遊んでくれた静華の大事な幼馴染の友達だった。




