第1話 就任
三か月前・・・
式アキラは国土交通省・保安部・特務課において
本部長の菅原和茂と同じく本部長兼・警視庁・総務省・
宮内省特使である榊原静華によって同課にスカウトが成立し
正式な調査・執行官を任命された。
任命初日、式アキラは東京・霞ヶ関で手続き完了後、
早速、新幹線で移動、三重県の隠れた村、榊原一族のもとへ
体一つで出向を命ぜられた。
榊村では静華の側近として雑務を行っていたが、それは本当に雑用ばかりで洗い物から便所掃除、良くて野良仕事中心、
毎日、全身筋肉痛の日々を過ごしていた。
『うわぁー派手な下着だなぁー静華様も水仙様もスゴッ・・・早く干さなきゃ乾燥機嫌がったのこれかぁー縮んだりするのかなぁー執行官が聞いて呆れるよ・・・おーっセクシーだな、よっこらしょ・・・イテテテテ・・』
家の奥から静華の怒鳴り声がした。
「アキラァッー!」
「はいーーっ!」
『うわ、また心読まれてた・・・スイマセン・・・』
そして現在。
この日はアキラが村に来て三か月経ったので
「お試し期間」が終了。
晴れて正式な榊村、村民の資格を得たことで村をあげての歓迎会が神社境内にて盛大に行われようとしていた。
最初アキラは村民たちと仲良くやっていけるかが一番の心配事だったが、先の『大祭り』で黒衣のふたりの信頼を得ていたのと、
神憑人であり荒葉馬鬼神の化身であるのが認知されていたので
「また安心の神様が、いらっしゃってくださった」
「ほんに、ありがたいこった」
と初めから歓迎ムードだった。
現在・村人たち。
「おい発電ドームメンテナンスどうなった?」
「あぁさっき来て、もう帰ったで」
「ほぉージャンプルームって便利なもんじゃなぁ」
「うんだぁあれがあれば世界中いけんだってよ」
「ほおーホントかーい?」
「ちょっと聞いたらよ・・・」
「どした・・・」
「なんでもメンテ班が差し入れだって大量のあんこと小豆それと、お前えびと豆腐のしゅうまい、鶏肉のそぼろなんかも来たって・・・」
「おーとりにくだとぉ?じゃ今晩は無礼講らしいな・・・」
「久しぶりに盛り上がるぞう」
「アキラぁ」
「はい静華さま」
「おい、もういい加減、様はよしてくれ」
「はぁ・・・でも周りの目とケジメもありますから」
「アキラわぁ『しずか』って呼び捨てでいいのよウフッ♥ハート」
「なんですか、その手」
和華が援護射撃
「もう、おじさんホントはうれしいくせにいいー」
「これっ大人をからかうもんじゃあないよぉー」
「えっ?(´Д`)誰が大人なの?」と和華。
「このおーー・・・あははは」
「クスクスッ」
この日、歓迎会に足りないものを街に買い物に出かけた。
ショッピングモールでアキラは休憩していた。
「じゃここで待っててね」
「了解です」
アキラがココアなんぞ飲みながらウインドウ越しに外を眺めていると、車道を挟んだ向かい側に小さな女の子が立って居てアキラに手を振ってきた。
しきりに
『おいでおいで』をしている。
両手をあわせ、お願いしながら・・・
アキラは
『アレ、俺にしてんのかな?』
女の子に向かって
『オレ?』と自分の顔に指をさすと
女の子は
『うん』と大きく頷いて『おいでおいで』をしてくる。
何事かと外に出てみると、まだ手招きをしている。
横断歩道を渡って行くと女の子は走り出した。
『おいで、おいで』
『えー?なんだよ、まったく』
相手が可愛らしい小さな女の子だったので
なんの疑いもせず走り出すと女の子は道路沿いの
一軒の家の中に入っていった。
―スッ
『あら?』
アキラは、その家の玄関前で
『ここだよなぁ・・・』とウロウロしていると
急に背中から羽交い締めにされて、わきの路地に連れて行かれた。
「お前、何者だ、とにかく話は署で聞くからな」
「えぇーっ?ちょっと待ってください、女の子が必死に呼びに来たから追いかけてきただけですよ」
「なにぃーっ女の子だぁあー?こっちに来いっ!」
「なんすかあっ!ちょっと離してくださいよ、ああっもうなんすか、アレ?手錠なんてやめてくださいよぉーチョットおーっ!!」
「暴れるなっ!」
「ちょっとおーーーーっ!」
アキラは、そのままパトカーに乗せられ警察署に連行されてしまった。
署で揉めながらも身分証を提示し、事情聴取に応じると
どうやら少女誘拐事件が発生しているらしく
私服の警察官が少女の家周辺を警戒中にアキラがノコノコ現れたらしかった。
ただ警察官たちは走って家に入ったという少女の姿を誰も現認しておらず、どうやらアキラは例の能力で少女の霊体か何かを見てしまい、追いかけてきたところを捕まったらしかった。
連絡を受けた静華・和華・守護霊(城一郎)の三人は警察署に向かい、アキラの身元引受人となった。
ただ
チョットだけ静華と和華が、お怒りになった……
ものすごい剣幕で署長室に乗り込んで行った。
「おいっ!式アキラの身分確認は済んだのかあっ!」
「ハ?あなた達は・・・」
「あー腹立つ」静華は菊御紋の金バッチのついた
特命国家・公務員の身分証を見せた。
「よーく見ておけ、コレを知らんという事は、お前、誰にも相手されないお飾り署長なんだな・・・どこに確認取ってんだ、お前」
「なんだね、いきなり入ってきて逮捕するぞ」
静華はあきれて、和華は、もう笑っている。
「はぁああーっ!馬鹿、ばーか、ぶぅあああーーーーかっ!」
「ばぁーか、クスクスクスッ・・・・」
「今から警視総監に電話するから、お前に代わるぞ、いいな」
スマホがスピーカーにされ静華が電話を掛けた。
普段、静華は直接、警視総監に連絡するのだが
今回はわざと、警視庁経由で呼び出した。
「はい警視庁、御用件は?」
「警視総監に取り次いで」
「ハッ、特命・公務員、榊原静華さまですね」
「そうよ」
「少々お待ちください」
所轄署長は総監に怒られた。顔色は真っ青になっていた。
「なにをやっとるんだ!何でも彼女たちのいう通りにしないと
首が飛ぶぞ、この馬鹿者!」
その時、警察署内で城一郎は各警察官の守護霊たちに
聞き込みを行っていた。
署内・警察官たちの守護霊も正義感の強い者ばかりで話が早かった。
「わたしは榊原といいます、霊ですが警察に協力しています」
「あぁ三重県で榊原様といえば私たちで知らない者はいませんよ、あぁ貴方たちが・・・そうですかあ」
「誘拐された女の子の居場所わかりませんか?」
「了解しました、すぐに背後霊でリレーしながら探しましょう、なに、すぐに見つかります」
「この署内には霊媒の警察官、居ないのですか?」
「はぁ残念ながら居ないであります、あとで署長に何か進言いただけないでしょうか」
「わかりました、お安い御用です」
署内の背後霊たちが、ざわつき始めた。
「榊原さま、見つかりました、萌ちゃんという女の子、いま国道沿いの廃ホテルに囚われているようです」
「詳しい場所、教えてください」
「はい、そこの壁に地図がありますから・・・」
詳しく聞いていると
「現場は心霊スポット化した場所です、悪いものも居るようなので、お気をつけください・・・私たちも一緒に行ければ良かったのですが・・・」
「いえいえ、助かりました」
そしてアキラは釈放されることになった。




