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「おい……ケイミー、ベラ。すぐ施療院に連れて帰ってやるからな……」
小さな呟き。
呆然と前を向いたまま、何も映していない視線。
声は掠れていたが、その痛みと切実さだけは、はっきりと伝わってくる。
直視したくない惨状が、そこにあった。
「もう…息をしていないよ。死んだ人間を生き返らせることは、誰にもできない」
「このあと、パレードに行くって……約束してたんだよ」
「…うん」
遠くから、楽しげな笑い声が聞こえてくる。街中は着飾られ、祝祭の空気に満ちていた。
そこに、自分たちもいるはずだった未来が、一瞬で踏み潰された。
「行かせてくれよ…パレード。なぁ、ケイミー。お前、俺の姉貴だろ……?ベラ、レイに今日こそ伝えるって言ってたじゃん……まだ、伝えてないだろ…」
二人から返事はない。
男だけが、アルスの傍で立ち尽くしていた。
静まり返った空間に、啜り泣く声が滲み出す。
それは次第に、抑えきれない心の叫びへと変わっていった。
「戻りましょう」
シェイラの声と同時に、再び扉が現れた。
「……えぇ」




