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「にゃー」
歩いていると、足元に白い猫が擦り寄ってきた。
尻尾をゆらゆらと左右に揺らし、喉を小さく鳴らしている。
その仕草に、思わず笑みがこぼれた。
「お出迎えに来てくれたんですか? ソルーナ。あなたは、ソファで寝ている猫とは違いますね。今日も綺麗です」
彼女はご機嫌な様子で、「にゃっ」と短く鳴く。
少しだけ背を撫でてから母屋へ向かうと、気品ある足取りで、当たり前のように隣を歩いてくれた。
母屋の扉を開け、部屋を見渡す。差し込むのは温かな日差しだけで、人の気配はない。
キッチンに入り、出窓を開けてやると、ソルーナは静かにその場所へ姿を現した。
近くの棚から紅茶を取り出す。
今日は、出かける前に焼いたパイに合わせて、アッサムを選ぶ。
(……いい匂い。お腹が空いてきちゃった)
我慢できず、パイにかぶりつく。
バターの香りと、しっとりとした口当たりが広がり、思わず息が漏れた。




