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悪夢の魔女と死んだ恋  作者: かなゑ
始まり

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10

シェイラの左手の先。ガラスドームの中に、彼女の探し人が小さな姿で現れていた。

ラグトと呼ばれたその存在は、言葉を発することもなく、ただ静かに彼女へと視線を向けている。呼ぶでもなく、応えるでもない。ただそこに佇み、見つめ返していた。


「ラグト!ラグト!」


彼女は衝動のまま小さなラグトへと詰め寄り、シェイラの手をガラスドームから引き剥がす。その瞬間、そこにあったはずの姿は、霧が散るように消え失せた。ドームの中には、何事もなかったかのように、もとの花だけが残されている。


「……どうして?」

「先ほどのラグトさんは、想いから創り出した姿です」

「あなたが…やったの…?」

「はい。その通りです。それでは、わたしの質問に答えていただけますか」

「一体、なにを」

「ラグトさんに、逢いたいですか?」

「はっ?馬鹿にしてるの?」

「逢いたいですか」


先ほどまでの温和な態度は影を潜め、淡々とした声だけが落とされる。感情を交えず、ただ答えだけを求める声音だった。胸の奥が締め付けられ、息が詰まりそうになる。だが、問いへの答えは、最初から決まっていた。


「…えぇ、逢いたいわ。」

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