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こっちで元気にやってます  作者: 楠 螢
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激闘!

レオンが炎でマサトを攻撃している最中に雷が落ちてきた。

「ガウッ!」

レオンは驚いて炎を吐くのを止めた。その隙に真人はレオンの懐に飛び込み、足に向かって蹴りを入れた。

ドドンと音がして蹴りは決まり、レオンは体勢を崩した。

「フー!!!」

怒ったレオンは前足でマサトを殴りつけた。鋭い爪が真人を引っ掻く。

「グハッ!」

爪は真人の服を切り裂き、体にまで傷をつけた。飛び散る鮮血が見える。

「真人―!」

朋美はグランドに飛び降りた。風魔法を使い着地の衝撃を和らげる。もう1人の餌にレオンは喜び再び炎を吐いた。朋美はそれを風魔法で空に向かって巻き上げた。走って真人の元へ駆け寄っていく朋美。しかしヒールが邪魔でよく走れない。一旦止まり靴を脱ぎ捨てた。

「トモさん、来てはダメです!」

「何を言ってるの!?私が巻き込んでしまったのに」

流血している真人を見て、朋美はダークベア戦った時の事を思い出した。

「真人を死なせるものですか!」

裸足で走っている朋美にレオンが向かっていく。

「ガウー!」

地面を大きく蹴り込み朋美に噛みつこうと飛んできた。

「邪魔よ!」

強風を放ち、レオンを上へと舞い上げた。観客席よりも高い位置に上がったレオンはそのまま地面へ落ちていった。

あの時と同じく白い光が朋美を纏う。朋美は迷わず真人の怪我の部分に手をあて治療をする。


「トモーミは癒しの力も使えるのか!?」

フランチェは驚いて声を上げる。ロドリゴ達も驚きの表情をしている。この世界では癒しの魔法が使えるものは攻撃魔法が使えないというのが通説だ。逆に言えば攻撃魔法が使える人は癒しの魔法が使えないという事だ。しかし目の前でその通説が崩れたのだ。


「ここまでしか治せないけど大丈夫?」

「これを貰っているから大丈夫です。」

エドガルトフィからもらった高級ポーションを見せる。

「トモさん以外に命より大事なものはありませんから。」

「何を言ってるのよ!」

冗談が言える元気があるなら大丈夫と朋美は安心した。

地面に落ちたレオンは怒りを露わにし、2人に向かって激しい炎を吐いた。すぐに2人は別々の方向へ逃げた。

「トモさん、あれを横倒しに出来ますか?」

「やってみる!」

すぐに魔力を練り、レオンに向かって雷を放つ。レオンはそれを尻尾で払う。

「あの尻尾は邪魔ね。」

収納から魔剣を取り出す。

「うかつに近づいてはいけません。あの尻尾は」

「見てたからわかってるわ!」

魔剣を上に向かって放り投げた。ギャラリーは朋美が何をするのか分からなかった。

風魔法に乗せた剣はかなり高く舞い上がった。その間にレオンに雷攻撃を続ける。


「効いてないのによくやるよな。」

「馬鹿の一つ覚えか?」

隊員たちはクスクスと笑い始めた。

それでも朋美は手を止めずに少しずつ後退りをしながら雷を放ち続ける。レオンはその対処に追われ、上から自分に目掛けて剣が落ちてくることに気が付かなかった。

ヒュンと音がし、レオンの尻尾は根本付近からスッパリと切り落とされた。

「ガウウウウー!!!!!!」

レオンは後ろに飛びあがり、自分の尻尾が地面に落ちているのを見て怒り狂い朋美に向かって突進してきた。

「トモさん危ない!」

すかさず朋美は氷の壁を作り、レオンはそれにぶつかった。氷は割れたが、レオンもその場に倒れ込んだ。真人がそれを見逃すはずがない。すかさず腹部に入り込み、連続でパンチを繰り出す。

ドドドドド・・・ものすごい音とともに繰り出される打撃。余りの威力にレオンは反対側の壁まで吹き飛んだ。

それを見た隊員は一同騒然となった。

「武闘タイプのパンチってこんなに効くのか!?レオンを吹き飛ばすってどれだけ凄いんだよ。」

「あの剣、尻尾を切り落とすために投げたのか!?随分と計算された攻撃じゃないか。」

散々馬鹿にしていたのに、形勢が逆転した途端に褒め始めた。

よろよろと立ち上がったレオンは怒りに任せて炎を撒き散らし始めた。広範囲に放たれた炎は近づくものを焼き尽くす勢いだった。

「私に任せて!真人は次の攻撃の準備をして!」

手を上にかざし、レオンが吐いた炎に向かって雨のように水をかける。しかしあまり効いていないのか威力は変わらない。それならとレオンが吐く炎よりも強い火を出してレオンに向けて放った。レオンは自分よりも強力な炎が飛んできたことに驚き、火を吐くのを一瞬止める。その朋美が出した火の後ろから真人が飛び出し、レオンの眉間のあたりに強烈なパンチを打ち込んだ。レオンの頭蓋骨にはひびが入り、その場で倒れ込んだ。

「とどめを!」

すかさずもう一発同じ場所に打ち込む。

「ガーーーーー!!!!!」

断末魔を上げ、レオンは力尽きた。


「おい、勝ったぞ。」

「あの女が入ってきてから形勢が逆転したぞ。」

「バカ、あの女って言うな!隊長が養子にするって言ってた女だぞ。」

「お前こそ言うなよ!」

観客席はざわざわと五月蠅くなってきた。

「あのトモーミって隊長が目をつけるだけあるわね。凄いわ。」

「マサトから殴られなくてよかったな。あんなパンチ貰ったら自分たちもあの世行だったぞ、きっと。」

フランチェは悔しそうな顔をして拳を握りしめている。

「まさか2人掛かりでレオンに勝つとは。こうなったら・・・」

フランチェは真人が負けて瀕死のところを助けて朋美に恩を売るか、朋美が泣きついて戦闘を止めさせるつもりでいたのだ。

「マサト!トモーミの首を絞めろ!」

首輪が光る。

「トモさん逃げて下さい!」

しかしその言葉よりも真人の手の方が早かった。

「がっ!」

真人は必死になって手を緩めようとするが、首輪の力で自分の意志と関係なく朋美の首を絞めていく。朋美は真人の葛藤を感じながら、意識が薄れていくのを感じた。真人は涙を流しながら自分の意思に反して力を入れていく腕を切り落としたい気分になった。

「これはまずい!フランチェ!止めさせろ!!!」

「ロドリゴ!貴様いつ入ってきた!?何、ドミニゴ隊長!?」

ロドリゴがいることもだが、王室親衛隊のドミニゴもいることにフランチェは驚きを隠せなかった。

「いや、あの者は神聖な戦闘の場所に割って入り・・・」

「黙れ!初めからすべて見ていたぞ!フランチェ、お前の行動は規律違反だ!今すぐあの者への命令を解け!」

フランチェはわなわなと震え出した。

「これは全て国の為です!」

「国の為!?国王の許可もなく眷属の首輪を持ち出すことが国の為と言うか!?」

「使わなければ宝の持ち腐れではありませんか!あの者が使えばもし戦争になっても有効に使うことが出来ます!」

どこまでも自分のやったことを正当化するフランチェに対し、ローブの人物がその姿を現し命令する。

「これが国の為と申すか!?今すぐ命令を解け!これは命令だ!」

「国王陛下!!!」

流石のフランチェも国王の命令には逆らえず、真人への命令を解いた。

真人は朋美の首から手を離した。朋美はその場に崩れ落ち、真人はそれを支えた。

「トモさんすみません。」

真人の顔の涙の後を震える手で朋美は触る。

「私こそごめんなさい。こんなことに巻き込んでしまって。」

そしてその手は眷属の首輪を掴む。

「こんなものがあるから・・・こんなものが・・・。」

朋美は首輪に自分の魔力を流し始める。

「トモさん何を?」

魔封じの腕輪と違い、この首輪には回路が組んである。その回路に今持っている魔力をありったけ流し込む。首輪から煙が出てきた。

「もう少し、もう少し・・・」

朋美が手でつかんでいるところから首輪がボロボロと崩れ落ち、それは真人の首から外れた。

「よか・・・った・・・。」

そのまま朋美は倒れ込んだ。

「トモさん?トモさん!?」


「なんてことだ。眷属の首輪を壊すとは。」

「すぐにあの首輪を回収しろ!そしてあの2人を救護室へ運べ!医療班もすぐに連れてこい!」

ドミニゴが指示を出す。すぐに第一隊の隊員が動き出した。

「ロドリゴ、フランチェを連れてこい。」

言われてすぐにロドリゴはフランチェの元へ行く。

「触るな!自分で歩ける!」

フランチェはドミニゴと国王の元へ歩いていった。

「陛下にはご機嫌うるわ」

「誰かこの者を不言の間へ連れて行け!」

流石に国王陛下の指示だとみんなさっと動く。

「陛下、陛下!」

フランチェはマリウスと自分の部下に拘束され、そのまま不言の間へ連れて行かれた。

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