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こっちで元気にやってます  作者: 楠 螢
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お出かけ中の2人

朋美が出かけたことを知らない真人はこっちでも依頼を受けることにしていた。自分の手袋とドルディンに依頼された分のグリーンイグアーナも見つけないといけない。自分が出来る依頼を探していると、以前朋美とピクニックに行った薬草の依頼を見つけた。早速その依頼を受諾し、依頼書を受け取った。

マサトさんのような上位ランクの方にやっていただくような依頼ではないのですかと言われたが、遠出をしたくないので気にしないで下さいとだけ言ってギルドを出た。

「今日はもう無理だから、明日早くに出発しよう。」

野営の道具もすべて朋美の収納の中だ。もっと大きな収納バッグを購入するにはお金が足りない。

「でも貴族の護衛になったらそれ自体も要らなくなるな。生活が一変するぞ。本当にそれでいいのだろうか。」

やっぱり話がうますぎる。よく考えてから結論を出さないと取り返しのつかないことになるかもしれない。

「はあ、貴族の知り合いは警備隊の2人だから聞けないし。」

ため息しか出てこない。しかしこれ以上考えても無駄なので、明日の準備をする為にそのまま街へ買い物に出かけた。


翌朝早く宿を出た。まだ門は閉まっているが、強化した足で壁を乗り越え外に出る。普通の人には無理だが、渡り人特有のチート能力だ。そのまま目的地まで行き、先に薬草を採取する。その後は森の中をグリーンイグアーナを探して歩き回る。

「中々いませんね。臆病だからあまり人前には姿を現さないとは聞いていたけど、これでは2匹探すのにかなり時間がかかりそうだな。」

朋美と来た時はあっさりと見つけられた。

「トモさんレアな魔物と相性がいいのかな。」

そんなことを口にしながら更に森の奥に進む。同じ頃朋美が洞窟の中で激レアな魔物と対戦しているとは知らずに。


「そろそろお昼にしよう。」

木の葉屋で作ってもらったサンドイッチを取り出し食べる。

「やっぱりここのサンドイッチは美味しいな。」

流石に料理人が作ったものだ。味や素材のバランスが絶妙にいい。あっという間に食べてしまった。

「もう少し奥に行ってみようかな。」

進んで行くと日の光が入らないほど木々が覆い茂った場所に出た。日が当たらないので随分と湿気が多く、木には苔が生えている。そしてその苔を食べているグリーンイグアーナを見つけた。

「苔が主食なのかな。」

無心に苔を食べているグリーンイグアーナに狙いを定め、一気に間合いを詰めて攻撃を開始する。あっという間に1匹を仕留めた。尻尾を持って持ち上げてみた。

「うん、いい大きさだな。」

嬉しいが真人の収納バッグには入らなかった。抱えて持って帰るしかないかと思っていたら、もう一匹が目の前から酸を吐いてきた。慌てて避けてすぐに攻撃をする。強くなった真人はあっさりともう一匹も仕留めるのに成功した。

「これの解体はどうすればいいのかな。貴重な皮を余すところなくとなると、ドルディンさんのを見ながらする方がいいか。」

そのまま2匹のグリーンイグアーナを抱えて町まで走って帰ることにした。


何とか門が閉まる前に帰ってくることが出来た。そのままドルディンの店へ獲物を持って行った。

「相変わらず早いな。」

そう言って大銀貨を2枚渡された。

「すぐに解体するのですか?よかったら見せていただけないでしょうか。」

「ああ、こいつの解体か。いいぞ、よく見ていけ。」

「父さん自分も見たいです。」

2人が見たいというので裏庭へ出る。そして素早くグリーンイグアーナを解体し始めた。

「どうだ、分かったか?やってみろ。」

真人が持っているグリーンイグアーナをここで解体しろという。すこしドキドキしながらドルディンと同じ手順で解体する。

「おう、はじめてにしちゃ中々上手いじゃないか。後は皮をしばらく干して出来上がりだ。この部分は酸が入っているから触るなよ。」

何かに使えそうだが、持ち運びが大変なので諦める。

「ありがとうございました。グリーンイグアーナは解体したことがなかったので助かりました。」

「貴重な皮をダメにするわけにはいかないからな。次からは講習代は有料だぞ。」

ドルディンは笑いながら言う。

「はい、よろしくお願いします。」

頭を下げて店を出た。

翌朝は少しゆっくり宿を出てギルドへ向かう。朝一のギルドは低ランクの冒険者でいっぱいだからだ。依頼の薬草を渡し、報酬を受け取る。ブースで次の依頼を探すが、大したものはない。グリーンイグアーナの皮を宿の部屋に干しているので後2日はここに滞在する予定だ。せめて宿代位はと依頼を受ける。しかし真人のレベルだとそれもあっさり終ってしまい、受ける依頼が無くなってしまった。


何となく足が向いて木の葉屋へ来た。

「ああマサト、いい所に来てくれた。この前言っていた材料だが、それらしいものを選んでくれないか。」

餃子の材料を揃えていたらしい。つくづくこの店の人たちは熱心だ。厨房へ入り、食材をチェックする。

「この材料ならいけそうです。後は好みがあるので材料の加減は自分たちでやって下さいね。」

そう言ってすべての材料を切ってもらった。ボウルに入れて捏ねる。中々楽しい。帰ったら朋美と一緒に作ろうと思いながら捏ねる。生姜をすりおろそうとしたらおろし金がない。

「これをみじん切りにしてもらっていいですか。」

「みじん切り?」

「あー、ものすごく小さく切り刻んで下さい。」

「ああ分かった。こうだな。」

道具屋でおろし金を作ってもらった方がよさそうだ。混ぜ合わせたタネを寝かせる。その間に皮を作る。

「へぇ、マサトもちゃんと料理が出来るんだな。」

「ええ、一応は。」

その後タネを皮に包んでフライパンで焼く。いい匂いがあたりに立ち込める。

「食欲をそそるね。エールに合いそうだわ。」

匂いが外まで漏れているらしい。何人かが店の前で匂いを嗅いでいる。

「たれはあのソースにこれを混ぜるといいはずです。」

即席の餃子のたれが出来上がった。焼けた餃子をたれに付けて店のみんなで試食する。

「旨い!絶対エールに合うぞ、これは。夜の看板メニューになりそうだ。」

「後はアレンジしてください。いろんな組み合わせで全く違う味のものが出来ますから。」

リスデンではタコのから揚げの次に餃子が流行りそうだ。



翌日も同じように休憩のたびに席を移動しながら進んで行き、何事もなく宿泊場所へ着いた。

「明日の出発時間は6時半です。皆様ゆっくりお休み下さい。」

ゆっくりと言われても、ここはテントを張って寝る簡易宿泊所だ。しかも雲行きが怪しい。夜中に降り出しそうな感じだが、寝ないわけにはいかない。そんなに防水効果がありそうなテントではないので、降ってきたらびしょ濡れになるのは間違いない。出来るだけ濡れない場所にテントを張りたいが、考えていることはみんな同じだ。大きな木の下にテントがかたまった。ここでも1人は朋美だけなので、場所取りに負けて小さな木の下にテントを張った。ここにはシャワーの設備がないので食事を軽く済ませてすぐに寝ることにした。朝方テントに雨の当たる音で目が覚め、そのまま片づけみんな馬車に乗り込んだ。予定より早いが、馬車はミンに向かって出発した。

通り雨だったようで、しばらくすると雨は止んだ。通常だと宿泊所を出発するとノンストップでミンまで行くが、雨で急遽出発したためみんな朝食をとっていない。このまま出発しても門が開いていない為町の中にも入れないので、朝食休憩を取ることになった。

朝食も終わり、みんなが馬車に乗り込み始めた。朋美も席に座り出発を待つ。最後の乗客が乗り込んだのを確認し、御者は馬車を出発させた。それから休憩することなく進み、門が開く少し前にミンに着いた。


「マストと同じくらい大きな町ね。それで1日1便って、そんなに行き来する人が少ないのかしら。」

「ここはマストから王都に行くルートじゃないからね。それに山越えするから1日1便しか馬車がないんだよ。」

見知らぬ人が教えてくれた。

「エラン行の馬車があるわね。ヴォデルマ領エラン。こっち行きの馬車は1日2便あるのね。」

ヴォデルマ領は王都がある領の南にある。ミンの人が王都に行くときはこちらのルートを通るらしい。

「ミンってミューズ領にあるけどヴォデルマ領に行く方が便利なのね。」

ミンはミューズ領でも特殊な町のようだ。同じ領の町よりヴォデルマ領の町とのつながりのほうが強い。町の人達はヴォデルマ領に属したいらしいが、町が1つ無くなるのはミューズ領としては痛手だ。そんなことを許すはずがない。しかもミンは独自に産業を興し栄えている。湖での漁業しかやっていないラコンとは対照的な町だ。

「とりあえず宿の予約をして町を散歩してみようかな。」

ミンは今まで行った町で一番あっちに近いかもしれない。宿屋は普通にホテルだった。

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