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こっちで元気にやってます  作者: 楠 螢
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洞窟探検

どんどん北へ進んで行き、河原へ着いた。大きなごつごつとした岩が沢山ある。

「ここでお昼を食べましょう。」

もうそんな時間かと思ったら、これから洞窟に入るので食べられないのだという。

「一応確認しておくけど、トモーミは雷魔法が使えるのよね。」

「ええ。短剣での戦闘も出来ます。」

「マサトが武闘タイプだったね。」

食べながら頷く。

「狭い所ではあたしの大剣は不利だから2人にお願いすることになると思うけど、ここに出てくる魔物はほとんどが虫系だけど大丈夫?」

今さら大丈夫と聞かれで駄目ですとは言えない。

「出来る限り頑張ります。」

「全然平気です。」

「虫系はほとんどが魔石しか取れないけど、かなりレアなやつでゴールドロリポリってのがいてね、そいつの皮からは防具が出来るのよ。」

「でもすっごく硬いのよね。マイ倒すとき苦労してたもの。」

大剣で倒すのを苦労するくらい皮が硬いという事ね。

「まあめったにお目にかかれないけどね。」

丁度みんなの食事が終わったので、そのまま洞窟へ入ることとなった。

「こっちだよ。足元に気を付けて。」

河原の岩の隙間に体を滑らせる。真っ暗な世界に入った。

「みんないる?それじゃあ行くよ。」

先頭はマイ。ランプを付けたメルフィラの後ろを朋美・真人の順に進む。


湿っぽい洞窟の中はコケがいっぱい生えている。時々カサカサと音がするが、襲ってこない魔物は出来るだけ相手にせず進む。目的地が奥にある為、進むことを優先させるためだ。入ってすぐは気持ち悪かったが、段々慣れて来てしまった。

最初の分かれ道に出る。

「こっちだよ。間違えないでついて来な。」

こんなところで置いてけぼりにされたら怖すぎる。必死についていく。次の分かれ道でマイが朋美を呼ぶ。

「こっちに進むんだけど、狭いから襲われたら戦闘がきついから、魔法を使ってみてくれないかな?」

こちら側から先に攻撃して、通路にいる魔物を倒しておきたいのだ。出来るだけ遠くに届くように魔法攻撃をする。

ジジジ、ドン、音がする。数匹いたようだ。カサカサと音もする。仕留め損ねたようだ。音が近づいてくる。攻撃されて怒っているのだろうか。

「任せな~。」

入口の横で大剣を構えてマイが言う。

「3・・・2・・・1・・・。」

ヒュンと音がして。魔物の首が飛んだ。出てきた瞬間にマイが切ったのだ。それでもまだ体は動いて進んでくる。進行方向にいた私はそれに向かって雷撃を打つ。ドドーン。かなり強力だったので、それは真っ黒に焦げた。

「ヒュー、すごい威力。頼もしいわ。」

そう言ってマイは飛んで行った頭を切り裂く。中から魔石が出てきた。それを拾って腰のポシェットに仕舞う。

「あっちの戦利品は自分たちで回収してねー。」

そう言ってサッサと先へ行く。今度の道は竪穴が私の身長位しかない。私とメルフィラはかろうじて立って歩けるが、マイと真人は少し屈んで歩いている。先ほど言った通り、マイは魔物の魔石には目もくれずどんどん行く。私は気持ち悪いと思いながらも短剣で頭を切り、真人が魔石を回収する。


また開けた場所に出た。今度は道が3つに分かれている。

「ちょっと待ってー。」

マイのその言葉とほぼ同時に真人が何かを警戒している。2人とも何かを察知したようだ。

「左の方から2体来ますね。」

「そうだね。あたしが頭を落とすか。」

大剣を構える。私とメルフィラは後ろに下がる。護衛が仕事だから、メルフィラを守るような位置に立つ。ヒュッと音を立てて大剣が振り下ろされた。しかしそれは魔物の寸前で止まる。

「ちっ、危ない所だった。」

マイはすぐに後ろに下がる。何故マイが剣を止めたか分からないが、次に真人が攻撃をする。だが、攻撃が当たる前に体を丸めて防御に入った。ドンと音がして、それは吹き飛ばされた。

ボールのように飛んで行ったそれは綺麗な黄金色。もう一匹も出てきたが、危険を感じてすぐ丸くなった。

「こっちに蹴りだして!」

マイの言葉に真人はすぐにそれの後ろに回り私たちのいる方へ蹴った。

「まさかこいつに出会えるとは。しかも2匹。」

それは洞窟に潜る前に聞いていたゴールドロリポリだった。


丸いボールは動かずにじっとしている。あちらもまだ危険だと判断しているのだろう。

「以前倒したときは剣が刃こぼれしちゃってね。」

なるほど、剣を引っ込めたのはそういう理由があったのだ。

「倒さずに進めるけど滅多にお目にかかれないし、かなり高値で売れるから欲しいのよね。」

高値で売れるのはかなり魅力だ。

「依頼で出てたりするんですか?」

「どうしても欲しいって言う貴族様とかは出すわよ。あまり表には出してないけどね。」

俗にいう『裏依頼』というやつだ。期限が設けていないものはそっちに入っていることがあると聞いたことがある。

「この外側は金属ではないんですよね?」

「うん、違うけどかなり硬いのよ。マサトもよく拳が無事だったわね。」

普通に素手で殴ったらこっちの骨が砕けるらしい。

「強化していたからでしょう。」

魔物を前に会話が出来るほど緊張感がない。

カシャカシャ・・・音がする。ゴールドロリポリが動き出した。丸まっていた体をゆっくりと伸ばし始める。丁度腹側が真人の方を向いていた。すかさず強化した足で蹴りを入れる。

ドン!ものすごい音とともにゴールドロリポリは壁に衝突した。今度は丸まらずに伸びているようだ。そこへ電撃を1発入れる。

「凄い。仕留めたみたいね。」

マイは動かないゴールドロリポリを大剣で突いている。

「・・・で、こっちはどうする?」

「試したいことがあるからいいですか?」

どうぞとあっさり勧められたのでゴールドロリポリの方へ行く。短剣に魔力を流し、丸まっている頭とお尻のわずかな隙間に差し込む。

「えい!」

思いっきり短剣へ魔力を流し込む。中で電撃が走る。ショックで伸びたゴールドロリポリの腹部へ真人がパンチを数発入れる。

「は~、あんたたち凄いね。こんな戦い方があるんだね。」


2匹のゴールドロリポリが腹を上にして横たわっている。

「よし、解体しなよ。」

私と真人は顔を見合わせて苦笑いをした。

「どうしたの?2人の収穫だよ。」

「私たち解体できないんです。」

マイが驚いた顔をしている。

「ええ?黒なのにできないの!?」

私たちは大まかな事情を話した。

「なるほどね。確かにダークベアを2人で倒せるなら黒以上の実力はあるわ。渡り人ってそんなに能力高いのかー。羨ましい。」

マイはゴールドロリポリの前へ立ち、

「よし、あたしが教えてあげるから、どちらか覚えな。」

「トモさん、短剣を。」

迷わず手を出し真人が行く。

「よし、よく見てな。あたしがするとおりにやるんだよ。」

大剣で解体を始める。真人はそれを見ながら同じようにやる。


5分ほどで解体が終わった。

「うん、上手い上手い。」

綺麗に皮と魔石と身に剝がされている。

「魔石の色が少し違いますね。」

「そうだね。こいつはレアな魔物だからね。魔石も高くで売れるのさ。」

一般的な魔物の魔石は赤だが、これはオレンジだ。どんな効果があるのだろう。

「さーて、解体も済んだし先を急ぐよ。早く収納へ入れちゃって。」

身は価値がないので持って行かない。皮と魔石を1つ収納へ入れた。意味を理解した真人がもう1つの魔石を握ってマイへ渡す。

「何だい、これは倒したあんたたちのものだよ。」

「いえ、ここに連れてきてもらわなければ手に入らなかったものです。マイさんの戦利品でもありますよ。」

「・・・いいのかい?」

「はい、解体まで教えてもらって、自分たちにとってもいいことだらけです。」

にっと八重歯を見せて

「それならありがたくもらっておくよ。」

魔石を受け取りポシェットへ入れた。

メルフィラも嬉しそうだ。私たちへ口パクで「ありがとう」と言っている。


それから進むこと約1時間。目的地へたどり着いた。そこは洞窟の中とは思えないほど明るく、そして広かった。

「うわー、すごいですね。」

「でしょ?ここの明かりは『ヒカリゴケ』が出しているのよ。壁一面にそのコケが張り付いてるの。」

ランプの明かりを消してメルフィラが言う。

「私は目的の薬草を摘むから、2人も依頼の薬草を摘んで。ここにあるから。」

よく見ると数種類の薬草が植わっている。メルフィラは迷わず自分の目的の薬草を摘みまくっている。

「見張りはあたしがやるから、気にせず摘んじゃいな。」

お言葉に甘えてせっせと摘む。依頼数が多かったのでしばらく採取に専念した。


私たちは依頼の分を摘み終わったが、メルフィラはまだ摘んでいる。

「メルフィラが欲しがってる薬草は市場にはあまり出回らないのさ。この洞窟を偶然見つけた時にそれは喜んだものさ。ほかの人に知られたくないから、年に2~3度こっそり取りにくるのさ。普段は2人で来るんだけど、温泉で見たトモーミが冒険者に見えなくってね。それで話をして信用できそうだったから誘ったのさ。」

時々ヒカリゴケや薬草を食べにくる虫系の魔物を仕留めながら話してくれた。

「お待たせ!これだけあれば冬が越せるわ。」

「この辺りは冬は雪に覆われて来ることが出来ないからね。今が最後のチャンスなんだよ。」

「そういえば山の方はもう降ってきてますからね。この辺りもそろそろ降ってくるんでしょうね。」

この洞窟付近は盆地になっているから雪がかなり積もるらしい。収納へ入れることも進めたが、自分の家へ持って帰れないからいいと断られた。後は元来た道を帰るだけだ。ひたすら余計な戦闘はせず、今日のうちに帰れるように急いだ。


町へ着いたのは夜の7時頃だった。

「まだギルドは開いてるね。ちょっと行こうか。」

私たちは冒険ギルドへ行き、依頼の達成を報告した。マイは別の窓口でゴールドロリポリの依頼がないか聞いている。奥へどうぞと言われたので、一緒に着いて行く。

「よかったよ、あるってさ。」

嬉しそうにマイが真人へ耳打ちをする。


部屋に入って収納からゴールドロリポリを出す。

「2匹ですね。いいサイズです。」

鑑定の結果はかなり良かった。1匹分ずつの金額を受け取った。

「さっさと汚れを落として打ち上げにしよう!」

待ち合わせは『白狼』の食事処になった。

「トモーミはあたしたちと温泉から直行するから、マサトは1人でおいでね~。」

私は2人に温泉へ連行された。真人も慌ててギルドを出て温泉へ向かった。

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