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こっちで元気にやってます  作者: 楠 螢
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神隠しの村

は?兄の写真?ブラコンなの?あっけにとられた顔をしている私を見て、彼女は続けて言った。

「神隠しにあって・・・。」

神隠し?行方不明と言わずに神隠しと言うとは、何か根拠があるのかしら?神様がお隠しになった・・・。一昔前ならともかく令和の時代に神隠しとは。

「ふふ、似てないでしょ?兄は亡くなった祖父にそっくりだったらしいの。だから祖父の生まれ変わりだとか言って、『太一』って同じ名前を付けたって。」

「え?西洋人なのに『太一』?」

ここへきて疑問が生じた。どう見ても東洋人には見えない容姿。なのに和風の名前っておかしくない?不思議に思った私のその疑問はすぐに解決した。

「当時の人たちが祖父の名前の発音が出来なくて似た発音で『太一』と付けたと聞いたわ。」

なるほど、発音出来なくて『太一』ね。でもどんな名前だったのか気になるわ。あれ?でもおかしくない?発音できなくても日本語表記する必要なくない?

更に不思議そうな顔をしている私を見て、クスクスと笑いながら彼女は続けた。

「祖父も『神隠し』の被害者みたいなの。」

え?被害者って何?事件でもあるかのような言い方だ。

「実は私の生まれ育った村は以前から『神隠し』に合う人がいたの。ある日突然地面から光が表れて、それまでいた人が突然いなくなるの。いなくなった人たちがどこへ行ったか分からないんだけど、祖父はその逆だったらしいの。」

「逆ってことは、光の中から表れたってこと?」

「そうらしいの。ご神木の方が光ったからと村の人たちが総出で見に行ったら、そこに子供がいたって。はじめは神の子かと思われたらしいけど、話を聞くと突然地面から金色の光が表れて気が付いたらここに居たって言ったらしいの。だから今までいたところでは神隠しにあったってことよね。」

なるほど、隠されてこちらに現れた・・・か。

「だから私は兄もきっとどこかにいると信じてこの写真を持ち歩いているの。もし大人になった兄に会っても面影は残っているでしょうからきっとわかると信じて。」

少し遠い目をしながら語る彼女を見ながら、私は一つ思い出した。昨日の女性の話だ。橋の方が光ってたって言ってたわよね?ってことは、神隠し(もしくは神現れ?)の光だったってことじゃない?もしかして私、どこからか神現れで橋の上にいたの?

「どうかしたの?」

「あ、いや、ちょっと似た話を聞いた気がして・・・。」

「信じてないのね?」

「違うわ、びっくりしただけよ。以前から神隠しに合う人がいたって、どうして知ってるの?」

「私の実家がある村は『神隠しの村』と呼ばれているの。理由は簡単。神隠しに合う人が多いからよ。」

なるほど、確かにそんな人が多いと『神隠しの村』なんて呼ばれても不思議ではないわ。

「兄が神隠しに合ったのが20年前なの。丁度私が生まれた頃で、母と私がまだ病院にいた時らしいわ。兄が小学校に入学した年だから、もう27歳。」

そう言って彼女はもう一枚写真を取り出した。

「20代の写真はなかっただけど、これが40代頃の祖父。」

写真に写ったおじい様は、顔立ちのはっきりした素敵なおじさまだ。うん、こんな顔なら一度見たら忘れないわ。

「この2枚の写真を見ていたら、絶対会ったことなくてもすれ違っても兄だとわかるって思ってるの。」

すごい自信だわ。でもこの話を元に考えると、神隠しに合った人はどこか別の場所に飛ばされているってことよね。そしてそこで生活している。これだけインターネットが発達しているのだから、『尋ね人』って出したらすぐに見つかるんじゃないかしら?そんなことを思いながら、ふと昨日の女性の話を思い出した。20年前って、私の話も20年前よね。急に気になった。

「その話、すごい興味があるわ。でも私もすぐに確認したいことが出来たから、今度詳しく聞かせてくれる?」

彼女とはラインを交換して別れた。

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