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こっちで元気にやってます  作者: 楠 螢
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黒い髪の女性

まだ転移前です。

翌朝朝食を食べながら父に昨日のことを聞こうとしたけど、聞きにくくてそのまま出かけてしまった。今日は彼女を探して昨日の写真を渡さなないと。教室を見渡しても彼女の姿は見つからない。今日は講義がないのかしら。仕方がないけど、会えるまで持っておかないと。

午前中の講義が終わり、昼食を食べに学食へ。麻里華は今日の講義がないから私は一人寂しい食事だわ。トレイにご飯とスープ、メインのチキン南蛮を載せて席を探していると彼女を見つけたわ。すかさず近づいて、彼女の前の席へ。

「ここ、いいかしら?」

長い髪をかき上げ、彼女は私を見る。とても綺麗な黒髪はちょっとあこがれちゃう。私のくせ毛と取替えてほしいくらいだわ。

「どうぞ。」

そう言って愛想なくまた下を向いた彼女の前へ座った。そしてそっと写真を差し出して

「これ、昨日落としましたよね?」

「!」

ものすごい勢いで顔を上げた。

「よかった、家に帰ったら無くなってるのに気づいて。もう出てこないと思ってました。」

そう言って写真を手にした彼女は少し涙ぐんでいた。

そんなに大切なものだったんだ。よかったわ。

「ありがとうございます。でもよく私のことわかりましたね?」

あー、そうきましたか。確かに落とし物を拾うことがあっても後日落とした人に会っても気づかないこと多いものね。

「あの・・・目立ってるから。その・・・黒髪の綺麗な・・・。」

はっきり言って美人なのだ。小顔にきれいなストレートヘア。控えめな口。くっきりと大きな二重。古風な感じが漂う彼女の瞳はよく見ると真っ黒ではなく、深い緑色をしていた。

「私、美作 百合江と言います。」

「あ、私は大野 朋美です。」

お互い自己紹介をして食事を始めた。初対面だから話が弾むわけもなく、なんとなく黙々と食べていると食事が終わった彼女が口を開いた。

「午後の予定は?もしお時間があればティーサロンの方で少し話がしたいのですが。」

「私でよければ。」

写真を渡して終わりだと思っていたが、彼女は何か話をしたそうにしている。食事が終わって二人でティーサロンへ移動した。この大学はお食事メインの学食が2か所、喫茶メインのティーサロンが3か所あった。最上階のティーサロンへ行き、景色のいい窓際に座った。

「写真、本当にありがとう。」

そう言って写真を取り出す。

「古い写真でしょ。落としてもゴミだと勘違いされて捨てられているのではないかと気にしなって眠れなかったの。とても大事なものだから。」

そう言ってとっても安心した笑顔を見せた。

そんなに大事なものだったのね。彼氏の子供のころの写真かしら?アイドルの子供時代の写真じゃないわよね。

「・・・兄・・・なんです。」

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