プロローグ2
楽しい女子会も終わり急いで花を買って橋の上へ来た。
今日は母の月命日。母が好きだったらしいひまわりは季節的にないので、代わりに黄色いガーベラを買った。
「お母さん・・・。」
道路わきに花を供え、手を合わせる。しばらくして立ち上がり、欄干に手をかける。ゆっくりと流れる川を見ながらちょっと感傷に浸っていると、
「あの・・・。」
知らない子連れの女性に声をかけられた。
「はい?」
「もしかして、20年程前にここで見つかった赤ちゃんだった人ですか?」
えっ?ここで見つかった赤ちゃん?何の事って顔をすると
「あら、違ったのかしら?ごめんなさい、人違いだった・・・」
「20年前、ここで何かあったんですか?知っていたら教えて下さい!」
思わず話を遮って聞いてしまった。私の母はここで身投げしたと聞いていたのに、私がここで見つかったって何?女性はちょっと困ったような顔をしながら
「違っていたらごめんなさい。20年ほど前に私、ここで赤ちゃんを見つけてね。不思議だったの・・・。」
彼女が話し始めたら、連れの子供が握っていた手を引っ張った。
「あ、ごめんなさい。もしお時間があればそこのお店でお話しませんか?」
「いいんですか?子供さんが・・・。」
「いいのよ、立ち話もなんだから。」
そう言って彼女と一緒に近くのファミレスへ向かった。子供はご機嫌でクリームたっぷりのパフェを堪能している。私と彼女はコーヒーを飲みながら話をした。
「中学の時だったわ。あの日は雪が積もってとても寒かったの。私は塾の帰りだったのだけど、橋の方が光っているのを見て、不思議に思ってそっちに行ったの。私が橋に着いた時にはその光は消えてたのだけれど、そこに赤ちゃんがいたのよ。」
「・・・その赤ちゃんが私かもと思って声をかけたんですか?」
「ええ。とても寒かったから、すぐに交番へ届けたの。夜遅かったから次の日に交番へ聞きに行ったらあの後すぐ養護施設へ預けたって聞いて。ずっと気になっていたの。随分と後で聞いたんだけど、あそこで女性が身投げしたって知って。」
なるほど、それで花を添えてた私を見てその時の赤ちゃんだと思ったんだ。ん、養護施設?疑問が浮かんだ。私って、お父さんの本当の子供じゃないの?そんなこと一度も聞いたことないわ。
「それ以上のことは知らないのだけど、あなたを見てあの時のことを思い出してね。もしかしてと思って声をかけてみたの。」
女性はコーヒーカップを持ち上げ、コーヒーを飲みほした。
「そんなことが・・・。実はよく知らないんです。私は父に母があそこで自殺したってことしか聞いてないんです。教えてくれてありがとうございます。」
私もコーヒーを飲み干し、女性にお礼を言った。父さんに聞いてみよう、私が養子かどうか。
自宅のベッドのさっきのことを思い出していた。
お母さんはあそこで自殺した。あの人が拾った赤ちゃんは養護施設へ預けられた。もしかして、自殺したのはお父さんの奥さんだと思うけど、私が二人の子供だという絶対的な証拠はないわ。もしかしたら赤ちゃん違いってこともあるし・・・。そんなことを考えながら父の帰りを待っていたが、その日はそのまま寝落ちしてしまった。




