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こっちで元気にやってます  作者: 楠 螢
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受付嬢 リズ

私は冒険ギルドの受付職員リズ。仕事の時間は朝8時から夜の8時まで。休憩時間が3時間あるのでその間に自宅に戻って食事をしたりショッピングに行ったりする。時々職場の仲間とカフェランチにだって行っている。中堅になってきたので、後輩の指導もするようになった。私の主な仕事は冒険者が受けた依頼の内容確認と達成確認、魔石などの鑑定だ。もちろん新人冒険者への丁寧な仕事の説明も私の仕事の一つだ。先日渡り人の冒険者への対応も私が担当した。2人は仕事熱心で毎日依頼を受けに来る。まだ1週間だけど、依頼の不達成はまだない。

マサトさんは緑だが、『単純な強さ』の実力だけならすぐに赤にしてもいいとオーエンさんが言っていた。すぐに赤にしなかったのは戦闘の経験値が全く足りていないからだそうだ。あの2人ならすぐに赤までランクアップするだろう。それどころか、もっと上までランクアップするかもしれない。

現在この町にいる冒険者で最高位はブロンズ(銅)のドルウェンさんだ。もう30年以上冒険者をしている大ベテランだ。一度は街の外へ出て冒険者家業をしていたらしい。10年ほど前、家族を連れて故郷のこの町へ帰ってきたのだ。それ以来指名依頼以外はほとんど受けず暮らしている。ドルウェンさんへの指名依頼はこの辺りで一番強い『ダークベア』の狩り依頼だ。ダークベアの肉はかなり美味しく、街の高級レストランなどで重宝される。しかしかなり狂暴な為、依頼は黒ランクで3人以上のパーティーでないと受けることが出来ない。でもドルウェンさんはそれが1人で狩れるほど強い。

オーエンさんはマサトさんもあの域までいくことが出来る冒険者だという。この町にも1人のブロンズの冒険者が誕生するのもそう遠い日ではないだろう。

トモーミさんは白からすぐに緑になった。魔法のセンスもいいとランディさんが言っていたから、ブロンズのマサトさんと並んでも引けは取らないだろう。昨日はトモーミさんが魔力測定をした。その後私はギルドマスターへ呼ばれた。2人への応対が終わった後、ギルドマスターの部屋へ向かった。部屋には測定技師もいる。

「ここでの話は他言無用で。」

重要な話らしい。ギルド長室も魔法障壁がかけられている。外部に漏れてはいけない話が多いからだ。

「先ほど彼女からトモーミの魔力量の報告を受けた。計測不能だったそうだ。」

「は?計測不能ですか?魔法使えましたよね。」

「そうだ。0ではない計測不能だ。」

「え・・・それって、上限を超えたってことですか?」

2人はうなずいた。

「ここでの魔力測定結果は報告義務がない。しかし、この魔力量は上へ報告するべきではないだろうか。」

確かに大量の魔力を持っている魔導士は貴重だ。知られれば当然貴族は抱え込みたがる。

「安定した仕事に就けるのなら、トモーミさんにとっていいことだと思います。」

当然だ。貴族のお抱え魔導士は収入もいい上に安定している。魔導士のエリートだ。

「しかし、トモーミさんはしきりに他の人に知られるのを嫌がっていました。」

「そういえばそんな感じの事を言っていましたね。」

「なんと?」

「ほかの属性の魔法が使えるようになったら上に報告するのかって。」

「何!?もう他の属性も使えるようになったのか?」

「いえ、まだだそうです。」

「上への報告を嫌がっている・・・。理由はわかるか?」

「わかりません。私たちなら大喜びするところですが、『渡り人』である2人には何か都合が悪いのでしょうか?」

「ふむ・・・。『渡り人』だからか・・・。」

3人で考えても答えは出ない。

「しばらく様子を見よう。リズ、今後あの2人はお前が専門で担当してくれ。何かあったらすぐ報告するように。」

「わかりました。」


いつものようにカウンターの掃除、依頼のデータ更新を済ませてギルドを開ける。冒険者たちが依頼を探す。あら、今日は来ないわね。休むのかしら?他の冒険者の対応をしていると入口から2人がやってきた。私が渡り人の専門になったという事はギルド員には知らせてある。すぐにほかの人が交代してくれた。

「おはようございます。今日は少しゆっくりですね。どんな依頼をお望みですか?」

ブースに行く前に声をかける。

「せっかくトモさんが収納魔法を覚えたので、大きな獲物の依頼でも受けたいなと思いまして。」

魔物が大きければそれだけ危険も増す。2人が受けられそうな依頼を見繕い提案する。

「ではそれをお願いします。」

依頼書を発行する。

「昨夜は『妖精の隠れ家』に泊まったんです。ベッドがふかふかで熟睡できました。」

嬉しそうなトモーミさんの顔を見て、1つ伝えることを忘れていたのを思い出した。この町の冒険者は『冒険者』というより『狩人』だ。一般的な冒険者と違い、町で消費する肉や毛皮を狩る為に依頼を受けている。その為、他の町から冒険者が来ることがあまりない。自宅から通っている人がほとんどなのだ。申し訳ないと思いつつ涼しい顔で教えてあげた。

「この町の宿屋は1週間単位で宿泊予約して前金で支払うと宿代が割引になりますよ。」

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