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こっちで元気にやってます  作者: 楠 螢
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ワイルドボアと村人たち

発煙筒に火をつけた。煙が上がる。煙を目印に村人がやってきた。

「おお、大きな雌だな。」

担架のようなものにワイルドボアを乗せる。もう1匹は子供のワイルドボアだ。村に戻って、人々は手慣れた手つきでワイルドボアの血抜きをしている。子供のワイルドボアも一緒に吊るされた。

「申し訳ないが、こいつは数には入れられないな。」

さすがにこれはカウントできないか。

「明日は朝早く出てみます。まだ暗いうちなら数多く見られるかもしれないので。」

「ならば見回りの時に一緒に起こしてやるよ。夜中だけど。」

その提案を受け入れ、仮眠をとるために今日は早めに休ませてもらった。


見回りの時間になったらしい。マルルは私たちを起こしに来た。

「それじゃあよろしくお願いします。」

眠い目を擦りながら出かける準備をする。暗い森に出かけるのだが、ワイルドボアは額に魔石があるから夜でも光って見えるらしい。畑で待っていたら狩りが出来そうだが、必ず現れるわけではないらしい。諦めて薄暗い昨日と同じ道を進んだ。

10分ほど歩いたところで、ばったりワイルドボアに出くわした。薄暗い森の中で赤い魔石がぼんやりの光ってる。相手は夜目が利くのだろう。鼻息荒くこちらを見ている。

「あの位置に魔石があるということは、昼間のやつより大きいですよ。」

「あれより大きいの!?」

まさか山の主じゃないわよねなんて思いながら戦闘態勢をとった。ドドドドド・・・突進してきた。巨体に似合わずすごいスピードだ。

「ひえぇー、怖いー!」

弱気になってはいけないが、思わず口に出た。ワイルドボアは急ブレーキをかけ、くるりとこちらを向いてまた突進してくる。

「いきます!」

真人はワイルドボアの前に出た。スピードを落とさず突っ込んでくるワイルドボアを寸前でかわし、腹部に1発パンチを入れた。

「うん、固いです。でも打ち込み続ければ倒せると思います。」

冷静に分析している。私も頑張らねば。またUターンしてくるワイルドボアめがけて魔法を放った。ランディから指導を受けて魔力を練っていたおかげで、かなり威力のある雷撃となった。しびれたワイルドボアの足が止まった。そのチャンスを逃さなかった。真人は眉間に渾身の一撃を打ち込んだ。ワイルドボアは地面にひれ伏した。

「トモさん、短剣を!」

急いで真人に短剣を渡す。鞘から抜き、スパッと首を切りつけた。

「多分これで絶命すると思います。」

血抜きで切った位置だ。真人は思ったより早く解体スキルを手に入れるのではないか?しばらくしてワイルドボアは動かなくなった。

同じ方法で合計4体のワイルドボアを狩った。大きな魔物だから苦戦するかと思ったが、昼間のワイルドボアの親子よりも随分と簡単だった。ワイルドボアは雑食で、普段は森の中で昆虫や草の根などを食べて生活している。しかし、繁殖力が強いのですぐに数が増え、森の食べ物が無くなり始めると畑の作物を狙ってやってくる。その為定期的に村では討伐依頼をかけているが、村の予算も潤沢にあるわけではないので討伐依頼は年に何回と決まっているそうだ。そして今回は前回の依頼からそんなに日にちが経っていなかったので、依頼を出すかどうか少し様子見をしていたらしい。そこへワイルドボアの『狩り』の依頼を受けた私たちが来たのでついでに頼もうという事になったそうだ。

朝日が森の中にも射してくる。発煙筒を使い、場所を知らせた。村人は大きな獲物に大喜びだ。

「いやぁ、本当にありがとう。こんなに早く退治してくれるとは思っていなかったよ。」

村長は漫勉の笑みを浮かべて出迎えてくれた。

「今夜は宴会をするから、帰るのは明日にしないか?」

依頼の数は揃ったのですぐに帰りたかったが、討伐成功の宴会をしたいというのでご厚意に甘えることにした。

夜間作業だった為、昼まで休ませてもらった。それから森へ入り、数匹の魔物を狩った。

まだ狩ったことのない魔物だったので、ギルドへ持ち帰ることにした。

宴会は夕方から始まった。村の広場でキャンプファイヤーを囲み、血抜きの終わったワイルドボアの肉をメインディッシュに盛り上がった。アルコールが入った人々は歌や踊りを楽しんだ。村長が私たちの隣に座った。

「改めて礼を言うよ。このままワイルドボアが増えていたら、畑は全滅するところだったよ。」

滞在期間が3日の為、依頼の2体の他に1体討伐できればいい方だと実は思っていたと話してくれた。村からの依頼は討伐だったので魔石は必要ないと渡してくれた。ワイルドボアは食肉になるので狩りすぎると困るが、増えすぎても困る存在らしい。誰かが村の秘蔵の酒だと言って、濁り酒を持ってきてくれた。

「私の曽祖父が田舎から持ち込んだ技法で作ったものです。」

お酒を嗜む事がなかったので、その時はその意味が分からなかった。

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