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こっちで元気にやってます  作者: 楠 螢
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お祝い 朋美

試験が終わり、もらった紙とタグを受付渡した。

「おめでとうございます。ランクアップです。」

タグが緑に更新された。これで真人の足を引っ張らずに済む。嬉しさのあまり涙が溢れてきた。植物図鑑を見終わった真人が近づいてきた。

「トモさんおめでとうございます。今日はお祝いですね。」

「いやだ、大袈裟よ。」

涙を拭きながら答えた。私が落ち着いたのを見計らって

「解体も終わったと連絡が入っています。」

解体所へ行くように促された。

冒険ギルドの隣の解体所。そこには綺麗に解体された魔物の換金できる部位だけがトレイの上にわけて置いてあった。

「確認してくれ。ブラウンアッフェの毛皮、肝、そして魔石が5つずつだ。毛皮は装飾ギルド、肝は薬師ギルドへ持って行けば買い取ってもらえるぞ。生ものだから先に薬師ギルドから行けよ。」

親切に教えてくれた。私たちが初心者だからだろう。

「ありがとうございます。」

確認が済むとすぐに毛皮と肝は箱に入れられた。解体料の支払いを済ませ、言われた通り先に薬師ギルドへ向かった。

「依頼には出していなかったのですが、在庫が減っていたので助かりました。」

そう言って少し色を付けてくれた。薬師ギルドを出て次に装飾ギルドへ行った。ギルドの建物の入り口の造りはそれぞれのギルドの特徴をとらえた形をしている。薬師ギルドは薬瓶の形をしているが、装飾ギルドは針と糸をモチーフにしてある。

「ブラウンアッフェの毛皮はそこそこ需要があるのでこの金額です。」

提示された金額を確認し、カードに入金してもらう。

「また何かいいものが手に入りましたらお持ちください。いつでもお待ちしております。」

装飾ギルドを後にした私たちは、再び冒険ギルドを目指した。魔石が手元にあるからだ。

「魔石を持って歩きたくはないですね。早く換金してしまいましょう。」

「へえ、魔石が手に入ったのか。」

この声は佐藤だ。どうしてこんなところで見つかってしまったのかと思ったら、装飾ギルドは商業ギルドの隣にあったのだ。たまたま出て来るところを見ていたのだろう。

「装飾ギルドから出てきたってことは、何か素材を売ったんだろう?たっぷり稼いでいるじゃないか。今夜はそれで飲めるな。」

真人は佐藤を睨みつけている。

「今日は私がランクアップしたので、お祝いに飲みましょう!」

さっと話題を変え、真人に目配せした。真人はため息をついたが、私をたててそれ以上は何も言わなかった。冒険ギルドで魔石を換金し、3人で近くの店へ向かった。

「先に言っておきますが、自分たちは明日も早いので早めに切り上げますよ。」

延々と飲み続けないようにくぎを刺した。

「はいはい、程々で切り上げますよ。」

店員を呼び、料理を注文する。

「エールを3杯お願いします。」

2人がぎょっとした顔でこっちを見た。

「だってお祝いですよ。せっかくだから飲まなきゃ!」

「こいつ未成年だろ?酒は二十歳になってからだぞ。」

「この世界では成人は18でその歳からお酒は飲んでいいそうですよ。」

「そうなのか?それじゃあ仕方ないな。」

仕方ない?自分の飲み分が減ると思ったのか?佐藤の言葉にまた物申したくなったが、どうせ途中で切り上げる予定だし、トモさんのお祝いだ。せっかく彼女が注文してくれたから飲むぞ。テーブルに置かれたジョッキを握る。

「乾杯!」

ゴクゴク。苦い。しかもぬるい。半分飲んだところで止めてしまった。朋美も半分程飲んだところでやめて料理を小皿に取り分けている。佐藤は一気に飲み干してもうお替りを注文している。

「しかしランクアップとは、随分頑張ってるじゃないか。羨ましいねぇ。」

相変わらずどの料理にも手を付けてしゃべる。

「佐藤さんの仕事はどうなんですか?」

冷酒のようなものを3杯目に注文した佐藤は

「んー、ぼちぼちかな。まああれだ。あっちとは勝手が違うから。」

厳しいらしい。以前どんな仕事をしていたか知らないが、思っていた仕事が出来ないのだろう。私は就活前だったしアルバイトの経験しかないからその辺りはわからないが。ぬるいエールをちびちび飲みながら話を聞いていた。

「俺はね、営業で大口物件を取ってた会社のエリートだったんだぞ。それが皿洗いだなんて・・・。何でこんなことになってしまったんだよ・・・。」

佐藤さんの異世界生活は私たちとは違う苦労があるらしい。随分と愚痴っぽくなってきたなと思ったら、すでに4杯目に突入していた。

「俺はよ、俺はね・・・。」

エリートだったかどうかは定かではないが、涙交じりに話す佐藤さんは少し可哀そうに見えた。あんなにきつい言葉をかけていた真人も、小皿に盛られた料理を食べながら同情するような眼で見ている。かけてあげる言葉も見つからず、私も黙々と料理を食べる。注文した料理がほとんどなくなったところで真人が私に目配せする。

「佐藤さん、私たちは明日も早いからこれで失礼しますね。支払いは済ませておきますから。」

5杯目を注文してあげて、佐藤から見えないように真人はカードで支払いを済ませた。

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