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こっちで元気にやってます  作者: 楠 螢
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戦闘とランクアップ

昼御飯が軽食だったので早くお腹が空いた。今日は早く食事をして休もうということになり店を探す。この辺りで大きめの店が目に留まった。外から見た感じはファミレスだ。客席も多く、ウエイターやウエイトレスの数も多い。

「ここにしましょうか。」

迷わず入口をくぐる。席についてメニューを見る。何の料理かやっぱりわからない。

「肉料理はありますか?」

スマートに聞いてくれた。ウエイターはメニュー表を指さし、

「ここからここまでが肉料理です。」

と親切に料理の内容まで教えてくれた。しかし、肉の種類も調理法もわからない私たちは、その説明で料理を想像しながら注文した。

「真人の注文したワイルドボアって何だろう。イノシシの気がするけど。」

「メルメルコッケって、鳥だと思いますよ。」

周りに聞こえないように会話した。お値段もリーズナブルだったから、よく流通している肉なのだろう。ドキドキしながら待った。しばらくして、注文した料理が届いた。テーブルに置かれた料理に胸をなでおろした。昨日の昼食のグロテスクな魚と違い、きちんとした料理なのだ。大皿の上の手前にはワイルドボアの肉。その上には紫のソースがかかっている。肉の奥にはサラダが盛り付けてある。メルメルコッケは深皿に入っていた。野菜と肉を一緒に煮込んだ料理のようだ。小皿に乗ったパンが置かれ、ナイフとフォークがセッティングされた。問題は味よ、味。一口食べる。やはり薄い。でもよく野菜と煮込まれているからか、今までで美味しかった。

「うん、薄いけどいけるわ。そっちは?」

「肉は少々固いです。ソースは美味しいですけど。」

この店は当たりだ。贔屓にしよう。そんなことを話しながら食事を終え、今夜の宿に足を運んだ。受付に私たちが泊っていることを教えないようにお願いして。


今日もギルドが開く前から並んで待った。受けられる仕事が少ないからだ。ここにいる人も同じ理由で待っている。幸いタグの色が低いから優先して受けられるが、場合によっては受けらえる仕事自体がないこともある。私は白でも緑の真人と一緒だから外に出ることが出来るが、早く緑にならないと真人の仕事も制限してしまうことになる。申し訳ない気持ちになるが、いい仕事がない時はソロで行ってもらうことも考える。

何とか2つ依頼を受けることが出来た。1つはプランの実の採取。もう一つは薬草ではなく根っこの採取だ。どちらも昨日行った森の西側に自生しているらしい。プランの実は大きいので、入れ物を持って行った方がいいと言われたが、私の背負っているリュックを見てそれなら大丈夫と言われた。

「今後の為に自分もリュックを買った方がいいかもしれませんね。」

「でも戦闘時に邪魔じゃない?」

「それもそうですね。」

「ランクが上がって受けられる依頼が増えたら考えましょうよ。今は私のリュックで十分みたいだし。」

「確かにそうですね。先走り過ぎました。」

昨日と同じ道なので、予定より早く森に着いた。今日はそこから西に向かって森の中を進んでいく。目的の根っこはすぐ見つかった。

「これでよしと。次はプランの実ね。この先の木になっているらしいけど。」

そう言って気が付いた。木の実ということは、登らないと取れないということだ。木登りの道具は何一つ持ってきていない。

「まずいですね。このままだと依頼不達成になってしまいますね。」

「一旦街に戻っても間に合うと思うけど、とりあえず進んでみない?意外と低い所に生ってるかもしれないし。」

急ぎ足で進んでみる。15分くらい進んだ所にプランの実が生る木を見つけた。紫色のアボカドくらいの大きさの実だ。思ったよりも低い位置になっているが、手を伸ばしても届かない。依頼数は10個。何とか手に入れたい。木の幹は意外と細い。登るには少し無理がある。しばらく木の下で考えていたが、中々いい案が浮かばない。枝を拾って木の実を叩いて落とすことも考えたが、実を傷付けそうなので却下。肩車をしようと言われたが、恥ずかしいので却下。依頼達成が最優先だからと言われたが、最終手段にしてと断った。

「ちょっと試したいことがあるの。」

私は短剣を抜いて実の方へ向けた。少ない魔力で魔剣の威力を発揮できると言っていたので、もしかして私の魔法が使えるのではないかと思ったのだ。剣先で狙うのは実の上の枝。上手くいけばと思い、魔法が発動するよう念じる。バチバチと音がして、見事枝に雷を当てることに成功した。しかし威力が強すぎて実が焦げた。次は弱いイメージでと先ほどと同じ作業を繰り返す。パチン。ピンポイントで雷が実の上の枝に当たった。それと同時に実が落ちる。それを真人が受け取った。今度こそ成功だ。12個実を落とし依頼の10個をリュックに入れた。実は甘い桃のような香りがする。そろそろ昼時だ。お腹が空いてきたので食欲に負けて2人ともかぶりついた。味はリンゴのようで、みずみずしい果汁は口から溢れ出た。

「美味しいね、これ。」

追加で2個落とし綺麗に食べ終わってしばらくしたら、段々目が回ってきた。体がフワフワする。お酒に酔ったあの感じだ。知らないものは口に入れたらダメだとあっちでも教わってきたのに、依頼にあるものだから食べられると勝手に解釈してしまっていたのだ。

「死ぬようなことにならなければいいのですが。」

お酒を飲んだことがない真人は初めての『酔っぱらった感覚』に苦しみ、物騒なことを口走った。実のせいで死ななくても、今魔物に襲われたら危険ではないか。そしてそれは的中した。


実の匂いに釣られたのか様子を見ていたのか、猿のような魔物が出てきた。真っ赤な顔に鋭い歯。二股に分かれた長い尻尾を振っている。数は5匹。私たちの周りをゆっくりと取り囲んだ。真人はすぐに立ち上がったが、足元は少しふらついている。私も立ち上がり短剣を構えた。猿たちは飛びかかるタイミングをうかがっていた。じわりじわりと距離を縮めてくる。額から汗が流れる。町の外では呑気に知らない木の実なんて食べている場合ではなかったのだ。少し後退りをした。リュックが背後のプランの木に当たった瞬間、猿たちが飛びかかってきた。ふらつきながらも真人は拳を振るった。私も短剣から雷を出して応戦した。真人を襲った猿は拳が当たって後ろに退き、雷が当たった猿は地面に横たわった。それでも猿たちは攻撃の手を緩めない。再び立ち上がり襲ってきた。短剣を振り回し、猿たちを切りつけた。猿たちはそれを巧みにかわし襲ってくる。真人は酔拳のごとく攻撃しているがなかなか当たらない。当たっても威力がないようだ。1匹が私の短剣を叩き落とした。足元に落ちた短剣を拾っている暇はない。私は両手を前に出し、出来る限りの魔力を放出した。指輪が魔力の放出を助ける。広範囲に稲妻が発生し、次々と猿たちを襲った。稲妻を受けた猿たちは白目をむき、バタバタと地面に横たわった。ピクピクと全身が痙攣し、泡を吹いてそして動かなくなった。

「ハアハア、倒したの?」

油断してはいけない。死んだふりをして襲ってくるかもしれないのだから。しばらく立ち尽くし、猿たちが確実に動かないと思われる時間を過ごした。

「・・・大丈夫なようですね。」

気が抜けて2人でその場に座り込んだ。どの位時間が経ったのだろうか。もう何も考えたくない。兎に角今すぐに街へ帰ろう。

「猿、どうしましょう。」

「念のため持って帰りましょう。討伐依頼とかがあれば換金出来るし。」

辺りを見回し、丈夫そうな棒を見つけた。紐になりそうなものが見つからなかったので、猿のしっぽを棒に結んだ。


猿の討伐依頼はなかったが、肝が薬の材料、毛皮は服の材料になるらしい。解体して部位ごとに売れるそうだ。ギルドの隣が解体所になっていて、種類によって値段が違うらしい。もちろん自分でも解体できるが、それなりのスキルが必要だと言われた。いずれは覚えた方がいいのかもしれない。解体をお願いしている間、依頼の完了手続きをする。

「トモーミさん、奥でランク確認の試験を受けて来て下さい。」

突然のことに驚いた。こっちへ来てまだ3日。そんなに早くランクアップのチャンスが来るとは思っていなかった。

「マサトさんはこの本を読んでいて下さい。」

植物図鑑を渡された。

ランディが待っていた。

「やあ、ブラウンアッフェを倒したそうだね。」

あれはそんな名前だったんだ。今はそんなことはどうでもいいが。

「その実力を確認したいので、前回と同じようにここに向かって魔法を放って下さい。」

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