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こっちで元気にやってます  作者: 楠 螢
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初めての町の外

今日も早めに宿を出た。早速外の依頼を受けるためだ。ギルドに行くと、数人が扉の前に並んで待っていた。

「やっぱり早めに来て正解でしたね。」

「そうね。どんな仕事があるかわからないけど、これならいい依頼を受けられそうね。」

扉が開いた。みんな我先にとブースへ向かって行った。

依頼は1回に1人2つまで、パーティーを組んでいると最高で4つまで(パーティーの人数が3人以上の場合)受けられると聞いた。私たちは2人だから、3つまで受けられる。手始めに薬草採取の依頼を受けた。金額は少ないが町中の依頼よりはいい。同じ薬草の採取の依頼を2つ、別の薬草の採取依頼を1つ受けた。モニターで受諾のボタンを押すと受付で依頼書が発行される。依頼書には受けた依頼内容と採取する薬草の絵が描いてある。

「よく似た草があるので間違えないように気をつけて下さいね。」

群生地を教えてくれた。その付近にも魔物は出るので気を付けるようにと付け加えて。

城門へ来たら、ガルシアさんがいた。

「お、依頼かい?気を付けて行ってきな。」

行ってきますと答えて、私たちは街の外へ出た。街の北側にある低木が茂った森の中に薬草の群生地があるらしい。30分程歩いてその場所へたどり着いた。

「受けた依頼の他に持ち帰ったものが依頼にあったら、それも引き取ってくれるそうですよ。」

ギルドとしては出来るだけ依頼を消化したいのだ。依頼にない場合は物によっては安値になるが買い取ってくれるらしい。薬草の場合は『薬師ギルド』で引き取ってくれるそうだ。今回の依頼の薬草はポーションの材料になるらしい。薬師ギルドで栽培もしているが、足りないと採取依頼をそうだ。低木とはいえ、私たちの身長よりは高い。上から何か襲ってこないか気を付けながら森を進む。時々小さな池があり、動物たちが水を飲みに来たりしていた。動物と魔物の違いは、魔石を持っているかいないからしい。まあ、見た目も少し違うらしいけど。さらに奥に進むと突然森が開けた。目的の野草の群生地だ。私たちは依頼書を見ながら依頼された薬草を採取していった。これは似ているけど違うみたい。こっちの薬草は間違いないね。そんなことを言いながら依頼された数より1依頼分多めに採取しリュックに詰めた。

「もう少し奥に行ってみませんか?」

余裕の表情で真人は言った。まだ時間があるので今後の為にこの周辺に何があるのか知っておきたいらしい。

「危険と判断したらすぐに引き返しますから。」

その言葉を聞いて安心してついていくことにした。薬草の群生地を過ぎると、生えている植物や木の種類が変わった。

「餌が変わると生息する生き物も違ってきますからね。」

気を引き締めて先に進む。カサカサカサ。何かが近づいてくる音がする。私は短剣鞘から抜いた。真人はすでに戦闘態勢に入っている。音が止んだ。身を潜めているのだ。緊張が高まっていく。五感を研ぎ澄まし、周囲の変化を感じ取る。シュッと音がした。左だ。さっと体を左に向けた。草むらから飛び出してきたのはヘビだった。

「きゃー!」

恐ろしさのあまり、ヘビの方へ届かない短剣を振り回した。

「トモさん・・・。」

真人の声でハッと我に返った。

「短剣の先から雷が出ましたよ。ヘビ、黒焦げです。」

あんなに練習しても出なかった魔法が発動した。身の危険を感じたら発動するのだろうかと思いつつ、今は襲われなかったことに安堵する。枝を拾って焦げた物体を触っていると、中から小さな魔石が出てきた。

「このヘビは魔物だったようですね。」

魔石を回収して更に奥へ進んでみた。ヘビは分類が動物だろうが魔物だろうが絶対会いたくはない。もし依頼があっても絶対に受けないわ。突然真人は足を止める。

「どうしたの?」

魔物がいるかと思い、小声で聞いた。

「そういえばその短剣、くぼみに魔石を入れたら魔剣になるって言ってませんでしたっけ。」

そうだ、そんなことを言われた気がした。試しに魔石をはめてみた。特に変化はない。

「魔石って、魔力が無くなると色が透明になるそうです。正確には石じゃないそうですが。

魔力が無くなった石を何かで再利用しているって聞きましたよ。」

私と違って随分と情報を集めているようだ。もう十分この世界で生きていけるみたいね。

1時間近く歩いたが、魔物に遭遇することはなかった。時間的にもこれ以上進むのは無理と判断し、私たちは引き返した。

ギルドで依頼達成の報酬を受け取り、余分に採取した薬草も出してみた。残念ながら追加の依頼はなかったので、薬師ギルドで薬草を売ることにした。ついでにヘビの魔石を鑑定に出してみたが、大した額にならなかったのでそのまま短剣に付けておくことにした。

「ランディさんにお話があるのですが。」

短剣を握ったら魔法が発動した件だ。ランディなら何かわかるのではないかと思ったからだ。しばらくして、ランディが現れた。

「昨日剣の訓練をされていたから魔法は諦めたのかと思っていましたよ。」

「適性が魔導士と魔法剣士だから、剣だけで冒険者をするのは無理ですよ。」

そんな会話をしながら、個室へ通された。

「それで話とは何ですか?」

私はランディに今日の出来事を話した。

「なるほど、まだ媒体が必要なレベルだったのですね。魔力操作が苦手な人や子供には多いのですよ。いやあ、失念しておりました。こちらに来てすぐに魔法でラウンドウルフを倒したと聞いたから、問題なく使えるものだと思い込んでいました。」

ランディはポケットから指輪を出した。

「これをしばらくお貸しします。媒体なしで魔法が使えるようになったら返しに来て下さいね。」

そう言ってランディは部屋を出て行った。

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