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婚約破棄された公爵令嬢ですが、身に覚えのない冤罪を晴らしたいだけです  作者: 明衣令央


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第10話:露わになる本性


「それは、本当なのか?」


「はい。今お伝えしたことが、先程の事情聴取で明らかになったことです」


 重臣の説明が終わると、審問室には重苦しい沈黙が落ちた。

 アレクシス殿下は額に手を当てて俯き、深いため息をつく。


「リリアナ……お前は俺に、嘘をついていたのか? エレノアにいじめられたと泣いていたのは、嘘だったのか?」


 俯いたまま、アレクシス殿下は隣に座っているリリアナ嬢に問いかけた。


「嘘じゃないわ! あたしは、エレノア様にいじめられていたの! アレクシス殿下はだって信じてくれたじゃない!」


「あぁ、信じた……信じてしまった……。だが、嘘だったんだろう?」


「嘘じゃないって言っているじゃない!」


 リリアナ嬢は必死に首を横に振り、言った。


「じゃあ、今俺が聞かされた話は何なんだ! お前は、いや、お前たちダロウ男爵家は、俺に嘘をついて騙し、証人を捏造したってことだろ! しかも証人を脅したとか、悪質すぎる!」


 アレクシス殿下は、また深いため息をつくと、思い切ったように顔を上げた。


「俺は、リリアナに騙されていたんだ」


 と言いながら、周りを見回し、最後にわたくしを見つめる。


「エレノア、俺はリリアナに騙されていたんだ……騙されていただけなんだっ! エレノア、俺を信じてくれっ」


「アレクシス殿下……」


 騙されていたと言われても……わたくしはその言葉を素直に受け入れることができなかった。

 何故ならアレクシス殿下は、わたくしがリリアナ嬢をいじめたのだと、全く疑っていなかったのだから。


「ちょっと! 騙されたって何よ! アレクシス殿下はあたしを愛してるんでしょ? それは真実の愛なんでしょ? だったら、ずっとあたしの味方でいてよ!」


「リリアナ!」


「ねぇ、アレクシス殿下! あたしを裏切るの? あたしのことを守ってくれるって言ったじゃない! それは嘘だったの? ねぇ、何とか言ってよ!」


「うるさい! この嘘つきめ!」


 すがりつくリリアナ嬢を振り払い、アレクシス殿下は立ち上がった。

 そしてわたくしを見つめ、「すまなかった」と謝罪する。

 アレクシス殿下の変わりように、わたくしは驚きを隠せなかった。

 どう接すればいいのかわからない。


「ちょっと! あんた、エレノアなんてつまらない女だって、気持ち悪い奴だって言ってたじゃない! 今更その女に謝ってどうする気よ!」


「そ、それはっ……」


 審問室の空気が凍りつく。

 アレクシス殿下の顔から血の気が引いた。


「……言っていない。エレノア、俺はそんなこと、絶対に言っていない!」


「言ったわよ! 何度も言ったわ! あたしを抱き寄せて、あたしに愛してるって言いながら、その女のことをつまらない女だって、何度も繰り返したわ! あんた、自分が言ったこと、忘れたの? この嘘つき!」


「だ、黙れ、リリアナ!」


 アレクシス殿下は、リリアナ嬢に手をあげようとした。

 けれどそれを、ウイリアム殿下が止める。


「兄上……女性に手をあげるなど、紳士のすることではありません」


「くっ」


 アレクシス殿下、ウイリアム殿下が掴んだ腕を振り払った。


「兄上……あなたは本当に、エレノア様のことをつまらないとか気持ち悪いとか……そんなひどいことを口にされたのですか?」


「そんなこと、言うはずないだろう!」


「嘘よ! 嘘をついているわ!」


 アレクシス殿下は言っていないと繰り返すけれど、そのたびにリリアナ嬢がそれは嘘だと繰り返す――もう何を信じていいのかわからない。


「とにかく、俺は……俺は、被害者なのだ! リリアナに騙されていた……悪いのは……リリアナであって、俺ではない! 信じてくれ!」


「はぁ? ちょっと、何言ってるのよ! あたしを裏切る気?」


「黙れ! 俺はお前にだまされただけなんだ!」


「何が被害者よ! 言ったわよ! 何度も言った! 忘れたの? あたしに全部押し付けて逃げないでよ!」


 アレクシス殿下とリリアナ嬢の口論に、審問室の空気が再びざわめく。

 アレクシス殿下は、自分は被害者なのだと何度も繰り返したが、わたくしを含め、それを信じる者はこの場には居ないだろう。

 ローレン王国の王太子ともあろう方が何をやっているのかと、呆れたようにアレクシス殿下を見ている者もいる。

 そのことに気づいたのだろう、アレクシス殿下は深い息をつくと、


「俺は、はめられたのかもしれないな」


 と言いだした。

 そしてアレクシス殿下はわたくしを睨みつけ、


「リリアナと親しくしていた俺に腹を立てたエレノアが、俺を陥れようとしたのだ! 先程聞いた事情聴取の結果も、クロノ公爵家がその権力を使い、証拠を捏造したのだ!」


「え?」


「アレクシス殿下、突然何を言い出されるのですか! クロノ公爵家の方々は、そんなことをされておりません!」


 事情聴取をした重臣がそう言ったが、アレクシス殿下は重臣の言葉を聞こうとしない。


「そうよ! 全部エレノアの仕業よ! あたしを陥れるために、公爵家権力で、さっきの証人たちに嘘を言わせたのよ! 全部エレノアが悪いのよ!」


 アレクシス殿下とリリアナ嬢の発言は、誰が見てもおかしかった。

 だけど二人は、無理矢理真実を捻じ曲げ、自分の思い通りの展開にしようとしていた。




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