表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
40/43

39

ゆるふわな感じで進行します。


足を運んで頂き、ありがとうございます!


いいね、ブックマークをして頂いた皆様、ありがとうございます。



「お嬢様、リュダール様は帰ってきませんねぇ」

「そうね、もうそろそろ着いてもいいと思うけれど」



 モニカのニヤニヤが止まらない。あの馬…アージュは何故か私にしか懐かない。そんな馬を相手に、彼はどうやって夕方までにここに着けるだろう。



「ティアラ、リュダールはまだかい?テオ達がそろそろ来るよ」

「アージュだから、まだかかるかしら。あの子がちゃんと走ってくれればもうそろそろ着くと思うけど…」



 ちらりと窓から外を見ると、馬を引きながら歩いてくる人が見える。太陽に反射してキラキラ光る髪は、間違いなく彼の物で。



「あ、帰って来たみたい。アージュと一緒に歩いてるわ」

「それでも凄いじゃないか、アージュは気に入らなければその場から動かない奴だ。歩かせてるだけマシだよ」

「…ちっ…」



 モニカが小さく舌打ちをした。あぁ、もう隠す気すらないのね。清々しいくらいだわ。とはいえ、リュダールが帰ってきたから、確認しなければ。



「リュダールを出迎えに行くわよ」

「えー…」

「いいから!早く確認したいの、私は!!」

「あぁ…ティアラが待ち望んでるのはアレか」



お祖母様が笑う。笑い事じゃないのよ、私には!!あんな物をいつまでも持たれてたら、恥ずかしすぎて正気じゃ居られないわ。良い具合に騎士団も集まって、準備をし始めている。私はニヤリと口角を上げた。



「リュダール、お帰りなさい」

「ただいま、ティアラ」

「アージュはちゃんと走ってくれた?」

「うん、途中嫌がったりしたけど、頑張ってくれたよ。な、アージュ」

「ぶるん!!」



アージュはリュダールを無視して私にすりすりと鼻先を寄せている。私はアージュを撫でて「お疲れ様」と声をかけた。



「遅くなってごめん」

「いいえ、あなた大分歩いたんじゃない?泥だらけじゃない。お風呂入る?」

「あぁ…ありがとう、入る」

「じゃあ、どうぞ。あ、荷物は預かるわ」

「ありがとう」



私はリュダールから、荷物を受け取った。彼が浴室に行った後、そっと袋の中身を見たら綺麗に保存された私の失敗作達が顔を出す。それに加えて、香水の瓶やらカタログやらが箱に収められていた。



「何だか申し訳ないわね。こんなゴミをこれだけ綺麗に保存されていると」



一枚のハンカチを手に取った。これは初めてリュダールがお揃いにしたいと言い出した時のハンカチだ。リュダールのには私の好きな薔薇が刺繍されていて、私の方にはリュダールの剣が刺繍されたものだ。薔薇の葉がうまく出来なくて、何度もやり直したけど…これは最初の一枚目ね。葉が、葉じゃない。



「あ、これ…クッキーの袋…」



アリーシャにあげたはずのクッキーだが、中身は流石にない。うーん…気持ち悪いといえばそうだけど…ここまで来ると飛び抜けすぎて逆に凄いわね。私には出来ないわ。ゴミはゴミだもの。



「お嬢様、リュダール様が来られます」

「わかったわ」



私はそっとそれらを元に戻した。瓶は難しいけど、他のはいけるわ。私は一人でうんうんと頷いた。



「ティアラ…」

「もうすぐ食事会が始まるわ。行きましょう」

「うん…あの…あのさ…」

「何?」

「俺…押しかけてきたけど…ティアラの隣にいても…いいのか?…い、嫌じゃないか…?今更だけど…」



目を合わす事も出来ずに、リュダールは俯きながらそう呟いた。殿下と離れて、道中一人だったから考える時間が出来たのかしら。でも、お仕置きはこれからだから。



「嫌ではないわよ?」

「…良くもない…か」

「そうね」

「…ごめん」



いつもならすでに繋いでる手も出せずに握りしめて。でもダメよ。簡単には触れさせてやらない。



「さ、行きましょう」

「…うん」



まるで葬儀のような雰囲気の中、私達は庭に出る。

そこにはすでに準備を終えたテオ達と、リーン様がいた。



「テオ!リーン様も!今日は急なお誘いだったのに来て頂いてありがとうございます」

「いえ、こちらこそ。お誘い頂き、ありがとうございます。これ、お肉に合う外国の塩です」

「まぁ!ありがとうございます!」



リーン様からお塩を頂き、話をしているとテオがツンツンと腕を突いてくる。ん?と顔を上げると、テオが笑っている。



「なぁ、あいつどうした?」

「え?」



ふと後ろを見ると、寂しげにこちらを見ているリュダールがいた。これもいつもなら、隣にぴたりとくっついているのだが今日は少し離れた所で待機している。元々の顔が綺麗だからか、少し憂いを帯びた顔が余計に物悲しい。



でも、ダメ。今日は私も本気よ。このままモヤモヤした物を残したら、ずっと引き摺る。今日の終わりは大物のターイを釣り上げた時くらい爽快でなくては。その為には通らなければならない、いわば通過儀礼のような物なのよ。



私も、あなたも。



私はにこりと笑みを浮かばせ、リュダールに手招きをした。


ここまでお読み頂き、ありがとうございました。


次回をお楽しみに!!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ