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唯ちゃんの理由

クロダは唯ちゃんに抱かれたまま彼女の部屋に招待されました。


「ここがわたしのへやでぇす!

 ねこさんのへやもおんなじさんだからネ!」


唯ちゃんの部屋に着いたクロダはやっと彼女の腕から解放されました。

ぽーんと飛び降りたクロダは早速周りを見渡します。

舞ちゃんの部屋を見馴れていたクロダはこの部屋がどうにも落ちつきませんでした。

唯ちゃんの部屋は周りが全てピンクで可愛らしい机に可愛らしいテーブル、

フカフカのベットに沢山のぬいぐるみたち。

まさに小さな女の子の典型のような部屋でした。


「ほらあ、ゆいちゃんもういちねんせいなんだよお!すごいでしょお!」


そう言いながら唯ちゃんがキョロキョロしているクロダに見せたのは

まだ新しい真っ赤なランドセルでした。

でも、クロダはそれが何を意味しているのか分からずにただキョトンと

しているばかりでした。


「ゆいちゃん7がつうまれだからもうすぐ7さいになるんだよ

 たんじょうびはあさってなんだけど、プレゼントはなににするかまだ

 きめてなかったの

 だからね、ねこさんをたんじょうびプレゼントにしてもらったの」


唯ちゃんはクロダに自分が何故クロダをここまで連れてきたかを話しました。

でも、その話をクロダは特に聞いている風でもなく、ただただキョトンと

するばかりでした。


「ゆいちゃんねこさんだいすきなの!いつかかいたいとおもっていたの

 でもおかあさんがまだはやいってゆうの…いつもいつもおんなじこと

 しかいわないの」


そう話す唯ちゃんは何処か淋しそうでした。

その表情に気付いたクロダは唯ちゃんがとても可哀想に見えて少しだけ

唯ちゃんに近付いていきました。


「ねこさんはゆいちゃんのことすき?わたしはねこさんだぁいすき!」


はッ!っとクロダが気付いた時はもう手遅れでした。

哀れクロダはまた唯ちゃんにぎゅうっと抱きしめられてしまいました。


「く、苦しいってば!」


クロダの必死の抵抗も今の唯ちゃんには余り意味がありませんでした。

唯ちゃんは自分の夢が叶ってとても嬉しい気持ちで一杯になっていました。

クロダがその腕から解放されたのは唯ちゃんが晩御飯の時でした。


「おとうさん!

 このねこさんねぇ、私のたんじょうびプレゼントなのっ!」


そう言ってクロダは唯ちゃんによって高々と上げられました。

そうされたクロダと唯ちゃんのお父さんの目が合いました。

唯ちゃんのお父さんは唯ちゃんの母さんと同じく若くて優しそうで

でもその瞳の奥にはハッキリとした意思の強さを感じました。

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