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[立体作品]モンスター美少女たちのパパになったら、全員俺を殺しにくるんだが!?  作者: 矢崎 那央
第4話 第3幕『湖にゆれる幻想の灯火〜静謐の精霊と交わす、おしっぽプレイ〜』
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Scene8:『ぺしぺししたい、お年頃です』

『痛みを伴わない教訓には、意義がない。

人は何かの犠牲なしには、何も得ることはできないのだから』-「ハガレン」より引用。


——しかし、痛みを伴って得た教訓に、常に意義があるとは限らない。

そんなもの、誰も保証してくれないからだ。


 ()き火のぱちぱちという音が、

 夜の湖畔(こはん)(ひび)いていた。


 私は、びしょぬれの白衣を石の上に広げつつ、

 (おのれ)の言動を(かえり)みていた。



 「……反省すべき点は、多々ある」



 神妙(しんみょう)な顔で、私はうなずいた。



 「まず、飛びすぎた距離感。次に、強引すぎた言葉。

 最後に、早すぎた家族化。うむ……誤算だ」


 「やはり“娘とは3日かけて懐かせるもの”

 という格言(かくげん)真理(しんり)……」



《そんな格言はない。しれっと捏造(ねつぞう)した》



 「だがしかし!」



 手をギュッと(にぎ)り、私は立ち上がった。



 「すでに我々の間には、"おしっぽ語"による

 コミュニケーションが存在している。ならばっ!!」



 ——そのときだった。



  “ぺしっ”


 空気を()くような音が、地面に()ね返った。


 私は、肩をびくりと震わせた。

 脊髄(せきずい)に、冷たい感覚が走る。


 視線を向けると、そこにはアクウェリーナ。

 その尾鰭(おびれ)は……見慣れぬ形状に変化していた。


 異様(いよう)に細く、長く。

 まるで一条のムチのように。



 「……えっ?えっ?……なに?」



  “ぺしっ”


 尾が、もう一度、湖畔の岩を叩いた。


 私は静かに正座した。


 私は(さと)った。

 この尾の動きには、はっきりとした意味がある。



 【おまえ、ちょっと調子に乗りすぎたぞ】



 なんという鋭い意思表示。

 まるで、言葉が聞こえたかのようだ。



 「うむ、娘よ」



 私は、()を正す。



 「そうか……! これが“娘に怒られるお父さん”!

 さあ来い!アクウェリーナッ!」



 アクウェリーナは無言のまま、

 尾を私の背に振り下ろした。


  “ぺしっ”


 その音が、まるで式典(しきてん)祝砲(しゅくほう)のように(ひび)いた。



 「ぎゃっ!? 今のは……

 今のは絶対、許しちゃいない感じだな!?」



 焚き火の赤い光が、

 ウェーリーの横顔を下から照らしていた。

 無表情(むひょうじょう)の顔に、明滅(めいめつ)する光と影がゆらゆらと踊る。


  “ぺしっ!”

  “ぺしっ!!”


 容赦(ようしゃ)なく、しなる尾が二度、

 (ほほ)脇腹(わきばら)を打ちすえる。


 私は静かに手をグッとにぎりしめた。

 焚き火の揺らめきの中、無言で“しばき”を繰り返す

 アクウェリーナの背に、私は確信(かくしん)(いだ)いた。


 これは怒りではない。

 これは(かた)りかけだ。



 「つまり、これはまさに…おしっぽプレイ…!!」



《“おしっぽプレイ”、パワーワード爆誕だ》



 「この娘は今、痛みによって、

 私に、言葉では届かぬ想いを伝えているのだ!」



《ふつうに怒ってるだけだ》



 「ふっ……そうか、そうだったのか……」



 私はピシッと正座したまま、しみじみと(つぶや)いた。


 

 「アクウェリーナ、

 我々は、言葉などいらぬ関係に(いた)ったのだな!」



《いや"今すぐ誰か言葉で説明して”と願っている》



 私は静かに笑った。



 「……ありがとう、娘よ」



 焚き火の光が揺れた。

 その向こう側、ウェーリーの尾鰭。いやムチが、

 ひときわ力強く振り下ろされる。


  "ぺしんっ!"



 「……いたっ!!」

 


——to be last scene.

しなる尾が、頬を撫で、脇腹を貫いたとき——

私は悟った。これは痛覚を通じた共感、

すなわち“おしっぽによる魂のラブレター”である。


……視界の端が、ちょっと光ってる気がするが、きっと焚き火のせいだろう。


——次回予告。

Last scene:残業しっぽ、定時ビンタ。


——

感想・評価・ブクマなど頂ければ、

作者の羞恥心がもう一段階、壊れていきます。よろしくお願いします。

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