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かけがえないんだろう、と騙されてあげる  作者: 今井葉


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小豆の香りが満ちる台所で。―しるこ

 小豆を煮ながら、芥川龍之介の『しるこ』というエッセイを読む。お汁粉。いいな。小豆の煮える匂いを存分に感じながら、小豆の食べ方を考えていた。



 芥川は大の甘党だったらしい。お酒が飲めないのは可愛らしい。でも私だってそう。あんなに大好きだったハイボールが、いつの間にか飲めなくなって、いまや嗜好は小豆。こんなところで芥川と共通点見つけて、きゃっきゃ騒いだりして。



 そう、お汁粉。もっと煮詰めて、あんみつでもいい。小豆、寒天、オレンジを添えて。最後に黒みつを。家族には白玉を。私はシンプルにこれだけでいい。




 小豆の香りが満ちる台所で、甘党の妄想膨らませて。黒砂糖を煮詰めてトロっとしたら火から下ろそう。今度は寒天を煮ようか。



 難しい宿題を終えたら小豆を食べようか。そんな風に誘って、家族で和みたい。もちろんお汁粉用にも。小豆を堪能して。



 こんな風に話題を振ってみる。お汁粉は飲み物? 芥川のネタだけれども⋯ってね。



 小豆は世界を救うんじゃないかと本気でそう思っている私。だって心がほどけるでしょう? 笑顔になるでしょう? 会話も生まれて、平和ってこういうことかな。甘さに宿るパワーのすごいことって言ったら、そりゃもう。




 そうでしょう?




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