誰も見てないけど、ご機嫌の気分。―枕草子
仕事から帰って来てからのナイトルーティン。なんてことない日常にどきどきしたりする。仕事上がりはわくわくしている。がんばったね、という達成感が染みて、おおらかになったり。
定時上がり。真っ直ぐどこにも寄ることがないのが定番。早く家へと着いて、冷たいコーン茶を一杯ごくりとしたい。さて、ドアに手をかけ、ただいま。
楽な服に着替えて、手洗い。鏡の前で前髪クリップを留める。最近、ショートヘアにした。クリップがネコ型で子どもっぽいと家族に笑われながら台所に立っている。
今日の献立。鶏むね肉の唐揚げに、大根おろしをのせて。大根一本すりおろす。なんてことない、機械ですりおろすので正味一分だ。鶏むね肉の唐揚げは我が家の定番。削ぎ切りにした鶏むね肉に下味をつけておいた。夕方揚げればいいだけだから、我が家では唐揚げの登場頻度は多め。さてみんなで、頂きます。
片付けの後は、すぐに入浴。夏の入浴こそ楽しみだ。最近、髪を切って、シャンプーも変えてみた。爽快なミントのシャンプー。そこで思い出す、「枕草子」の「心ときめきするもの」の段。
「髪を洗い、お香の染み込ませた着物を羽織ってどきどきするの。特に見る人がいなくてもとてもいい気持ち」
清少納言さんの気持ちをなぞってみる。ミントの香りに包まれての洗髪。指を通る髪の長さは圧倒的に軽くなった。頬を撫でていくミントの泡が、薄荷の効果でスカスカする。夏こそ、さっぱり洗い上げたい。
入浴後のドライヤーは手早く。千年前の洗髪はさぞ気持ちのいいものだったろう。でも、髪を乾かす手段はないのかな? 思いを馳せてみる。滅多にできない洗髪だから、どきどきしてしまうよね。濡れた髪が、普段と違うときめきを感じさせてくれる。メイクでもする? そんな気分。でも私はそこはなぞりません。そうだ。アロマの時間にしよう。
間接照明にアロマオイルを一滴。仄かな灯りに、ラベンダーも香って。誰も見てないけど、ご機嫌の気分。私の夏のナイトルーティン。枕草子の気分でお送りしました。




