便利屋ドリュー
便利屋ドリューと呼ばれる、その店の壁には、賞状が額縁に入れ、きれいに並べられている。
「まぁ…とりあえず座ってくれたまえ...君、紅茶は好きかい?」
「は…はい…。」
「はーい!私はビールが好き!」
エヴァの小言を無視し、紅茶を注ぐドリュー。
「さぁ…召し上がれ。」
ドリューさんの淹れてくれた紅茶は暖かく、不思議とリラックスでき、再び涙が出そうになった。
「さて、話してくれる気になったかい?実はね…この路地裏は、君のような学生のように、
将来有望な子供が来る場所ではないんだ。なんとな く…わかるかい?」
正直に伝えることで、彼らにも失望されるのを恐れ、口吃る。
そんな彼の態度を見かねたドリューは優しい口調を心掛け、話をした。
「……名前は、なんて呼べばいいかな?」
「…モロ。モロ…です。」
「モロか。私はドリューで、彼女がエヴァだ。」
「よろしくね。」
彼女は手を差し出し、遠慮がちなモロの手を引き、握手した。
「...本題に戻ろうか。君がなぜこんな路地裏に一人でいたのか…」
「ふーむ...予想してみよう...君はルミナス学園の生徒。
見た目は...初等部中学年くらい。その年の生徒が、ここにいた訳か...」
「…わかった!きっとグレたのよ。悪いことしたくなったんでしょ?
…思い出すなー…私にもそういう時期があった…」
「だとすると…泣いていたことの説明にならないんじゃないかな?
…きっと親か教師に酷いことを言われたに違いない。」
ドリューは片眼鏡を掛け直し、冷静に推察する。
「ド、ドリューさんの…方が…近い…です。」
ガーン…
エヴァは1人ショックを受けている。
「なるほど。大人に酷いことを言われ、あてもなく彷徨い…ここに辿り着いたと。」
「か…可哀想ね。泣くほど酷いことを言われたなんて…」
「僕が悪いんです。きっと…」
生徒たちの視線、大人たちの怒号を思い出し、耳を塞ぎ、俯く。
世界が再び黒色に染まる。
「ちゃんと聞いているのか?!」
「非常識なやつだ!」
「当然の報いじゃ。」
大人たちの声が、頭の中で鳴り響いている。
「だ…だいじょ」
―
カタッ―
カタカタッ―
その時、大事に抱えていた鞄から音がする。
「い…いま…その鞄から?」
「ち…違います!気のせいです!」
「あっ、怪しいわね…!」
鞄を抱きしめる僕の脇腹目掛け、エヴァの細い指が這う。
「アハッ!ちょ…やめ…ふふ…ハハハ!」
「こら…エヴァ!乱暴はよくない。」
「若者は笑顔が一番よ!さぁ…その鞄の中身を見せなさい!」
...彼女の執拗な攻めに、完全に鞄から手を離してしまった。
「どれどれ〜」
エヴァが鞄を開くと、二人にとって衝撃的なものが入っていた。
―
沈黙が続く。
正気を取り戻したモロは二人の様子を見ると、鞄を話してしまったことを後悔した。
「これは…その…」
ドリューはティーカップをお皿に置き…
エヴァは持っていた鞄を床に置き…
カチッ―
ドサッ―
「禁術?」
「禁術ね?」




