忍び寄る影
魔術協会にて
「ルミナス学園からの報告だ。禁術を使った生徒が出たらしい。」
「禁術ですか?それって、危険なんですぅ?」
「バカもの。確かに、最近では禁術の存在自体は薄れているが…前回起こった禁術事件…脅威であることに違いはない。」
「イロハさん!想像してみてよ…倒しても倒しても…何度でも這い上がって、自分の命を狙ってくる。そんな化け物を操る奴の姿!」
「うげー。確かに不気味かも。」
「その生徒の捕獲には、チリヌルが向かっている。が、相手は禁術使いじゃ。何が起こるかわからんからのう。」
「僕達にも用心しておけ…てことですよね?」
「あぁ。」
「真面目だなー、ポペットさん。」
「ニヲ君。ポペットさんはね、バカがつくほど真面目なの。」
「むっ。誰がバカだ。」
——
その頃チリヌルは…
「くそー。なんで学園にいねぇーんだよ。」
ルミナス学園から、禁術を使った生徒の家まで歩いていた。
「家にいるっつったて…こっぴどく叱られた後によぉ、
まっすぐ家に帰るやつなんて…いねぇーだろ!」
周囲を見渡すが、当然学園の制服を着た生徒なんているはずもなく。
「モロって言ったか?どこほっつき歩いてんだ?」
——
しばらく歩いていると、その生徒の家についてしまった。
「はぁ…家にいるわけねぇーよな。ま、一応」
ドンっ―
ドンっ―
「はーい…モロ?今日は早いのね…あら…どちら様?」
「あ、どうも。私、魔術協会から派遣された、チリヌルと申します。」
「魔術協会?まさか…あの子が何かしましたか?」
「そのまさかですよ…奥さん。私からの詳細は省きますが…彼を探しているんです。家に帰ってきてる…なんてこと、無いですよね?」
チリヌルは冷たい口調で言う。
万が一、家族が匿っていた…なんてことはないように。
「そ…そんな。あの子が…」
「彼が帰ってきたら、近くの衛兵にでも知らせてください。知らせなかったら……あなたにも罪が課せられるかもしれません。」
その母親の顔は青ざめている。
「それでは…私はこれで失礼します。」
モロの家を後にするチリヌル。
「はぁー…収穫無しかー…どこ調べっかなー。てか、私だってよ。ハハっ!ハハ!はぁー。」
チリヌルは、禁術を使った生徒の捜索という、面倒な仕事を押し付けられ、鬱々とした表情を浮かべていた。




