エディとヒナ・後編
「エヴァさん…私、試してみたいことがあるの。エディ君。…付き合ってくれる?」
考え込む様子のエディを見つめるヒナ。
「う、うん!」
—
ノワールとエディが、ヒナと二十メートルほどの間隔を空け、並び立った。
「いい?二人ともー。さっきも言ったけど、大事なのは無力化よ!それじゃあ早速…。」
エヴァはその間に立ち、二人の様子を探るように、目線を行き来させた。
「実戦…開始!」
—
「…いくよ!ヒナちゃん!」
シュン!
ヒナに向け、ノワールのトランプを投げた。
エヴァの言葉通り、体は狙わない。
「……。」
スルゥー…
ヒナは【花吹雪の魔術】を自身の体に纏うようにし、そのトランプの勢いを無くした。
スタッ…
そのトランプは、ヒナの背後でゆるやかに下降し、床に滑り落ちた。
「な、なら!…こっち!」
ジー!
杖にあるBのボタンを押し、グリップを、ヒナの足元に向け射出した。
「……。」
パンッ。
その攻撃は、ヒナの魔術によって弾かれてしまった。
「な…僕の攻撃が…。」
—
二人の実戦を眺めるエヴァは、エディが急所を狙わないことに関心していた。
(うんうん。そのトランプで牽制して、隙を見てグリップに繋がれたワイヤーで捕まえる…。いい作戦ね!でも…。)
(ヒナちゃんは、魔術で身を守るのはすごく得意。今までは攻撃に転じれずに、魔力が切れちゃってた…でも。)
—
「…エディ君。…いくよ。」
シュララ—
ヒナが纏っていた花吹雪が、エディを目掛け、突風を走らせながら飛んできた。
「うわっ!」
その攻撃に対し、杖を持つ腕とは逆の腕で、顔を覆うようにした。
—
「……?何も、されてない?…今がチャンスだ!」
カチッ—
カチッ—
「な、なんだ?…これ。」
ボタンを何度押しても反応がなく、その杖をよく見ると、桜の花びらが纏わりついていた。
「これじゃあ使えない…。それなら、ノワールさん!」
ぶん…ぶん…
隣のノワールに目を向けると、それは手足を花吹雪で拘束され、エディが魔術を使っても動かせなかった。
そんなノワールは、綺麗なシュシュを手足に身につけているようだった。
—
「…勝負ありね!勝者、ヒナちゃん!」
「や、やったぁ。エヴァさん…私、相手を傷つけないで、倒すことができた!」
エディが、エヴァでさえも、今まで見た中で一番の笑顔で喜び、彼女の元に駆け寄った。
「すごいじゃない、ヒナちゃん!まさか、あんな方法を思いつくなんて!」
エヴァは、そんなヒナの頭を撫でた。
「……な、何が起こったんだ?僕は、何をされたの?」
喜ぶ二人をよそに、エディは、杖とノワールの手足を眺めていた。




