迫る日
便利屋ドリューの食事室には、依頼人から感謝の意として送られた、ドリューとエヴァだけでは、処理しきれないほどの食材が置かれていた。
モロの一日は、その食材を食べることから始まる。
—
ガチャッ…
いつものように、その扉を開けると、ドリューが小さなナイフを使い、りんごの皮を丁寧に剥いていた。
「…ドリューさん?…おはようございます。……はぁ〜。」
寝起きということもあり、頭が完全には起ききっていないモロは、ゆっくりとドリューの向いの机に座った。
「おはよう、モロ。君も、食べるかい?」
ドリューは、剥いたそれを一口サイズに切り分け、モロに差し出した。
「…ありがとうございます。ムシャッ…。うん…美味しいです!」
「…急で悪いが、君に、伝えなければいけないことがある。…君の目標に関することだ。」
「目標…?依頼のことですね!」
「そう。それもなんだけど…その先にある賞状が貰える式…それが、後一ヶ月しかない。」
「い、一ヶ月ぅ?!」
ドリューから貰ったりんごによって、少しずつ起きてきた頭が、一気に目覚めた。
「そ、それって、つまり…。一ヶ月以内に、その賞状を貰えるような依頼を、達成しないといけないってことですか?」
「そうなんだ。これに関しては、僕も予想外だ。なんせ、その式は本来なら半年以上先なんだから…。」
「な、なんで…そんな急に?」
「さぁ?昨日、魔術協会から手紙が届いてね。その式の招待を受けたんだけど…。一応、君にも報告しとこうかと思ってね。」
「ドリューさん!僕、依頼を受けてみたいです!この一ヶ月で、その賞を貰えるほどの活躍をして見せます!」
「ふふっ。一ヶ月だと…難しいかもしれないね……でも、そろそろいいだろう。」
「それって?!」
「“最後の試験”…一週間後に行おう。」
「一週間後…ゴクリッ。」
——
魔術修練場では、攻撃を避ける練習として、自身の杖を使い、仮面の骸骨に向かってグリップを射出するモロの姿。
「一週間後…ついに…。その後は…初依頼!」
ドンッ!
「が…骸骨さん!」
気を逸らしたせいで回避行動が遅れ、それはモロの攻撃を顔に受け、後ろにのけぞった。
「だ、大丈夫?!…ごめんね。僕のせいで…。」
それに駆け寄り、怪我の跡を確認しようとしたが、その顔には背伸びしても届かなかった。
カツッ——
静まり返った修練場に、階段を下る音が響いた。
その方向に視線を向けると、エヴァともう一人、階段を下る姿が見えた。
「エディ!今日も練習してるのね!」
「エディ……?エディって……あ。」
「…エディ君…久しぶり。」
もう一人の人物は、酒場のカラウィンで出会った女の子、ヒナだった。




