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ヒナの葛藤・後編

翌朝、家族と共に朝ごはんを食べるヒナは、二人の様子を探るように、静かに二人に目線を向けた。


「……ヒナ。その…お前は、優しいから…たまに店の手伝いも、してくれているしな。できないことの一つや二つ、俺たちがどうこう言うつもりはないが…。」


ウインズがゆっくりと言葉を紡いでいくのを、見守る二人。


「お前には、自分で身を守れるくらいには…強くなって欲しい。それが、俺たちの願いだ。」


禁術使いや街が物騒だということ…様々な要因で、ヒナが魔術を実戦で使えないということが、二人にとって重い内容になっていた。


「そうねー。でも、無理はよくないわよ?辛くなったら、なんっでも相談してねー。」


「うん…分かった。…ありがとう。」


——


「—あいつ、魔術が使えないだけなのかと思ったら、まさか、禁術使いだったなんてな?!」


「—やべー、悪い方向で注目されるの、確定しそー!」


「—クラスメイトが禁術使いとか、きちー!」


廊下では、口々にモロと呼ばれる生徒の話題が上がり、まだ捕まっていないという噂まで上がっていた。



昨日の教室に入ると、窓際の席にヒナの親友、ミミが机に突っ伏し、退屈そうにしていた。


「ミミちゃん?おはよう。…今日は早いね。」


「あ!ヒナちゃん!おはよう!そうなんだよー。ママが物騒だから、早めに出なさいって。はぁー…もっとねてたかったのになぁー。」


「そうなんだ。私の親も、心配してた。実戦科目が悪いからって…。」


「私は座学…早く起きたからって、ヒナちゃんみたいに、頭が良くなるわけでもないのになー。」



ガラガラ…


「はーい!皆さーん。席についてくださーい!」


ミミと話していると、ヨーコ先生がいつもと変わらない調子で入ってきた。


生徒が席に着くのを確認すると、いつもと変わらないホームルームが始まるのかと思いきや、授業の予定表を変えるといい、紙を生徒に配り出した。


「な…なに…これ?」


その予定表には、本来なら、文学や数学、歴史などの科目がバランスよく配置されているはずが、魔術の科目にほとんど占領されていた。


「…ヒナちゃん…これ、あまりにも多すぎない?」


「…う…うん。さすがに…これは…。」


ヒナとミミだけでなく、周りの生徒も小さな声で疑問を露わにしている。


「皆さーん!私語はやめてくださーい!疑問に思うのは当然だと思うので、今から説明しますねー!」


ヨーコ先生の説明を要約すると、一ヶ月くらい先に学園対抗の魔術決闘を開催するので、それに伴い、魔術の授業を増やしたという。


「急すぎない?本来なら、半年以上先でしょー?なんでそんな…」


納得がいかず、少し大きな声で呟くミミに、同調するように頷くヒナだった。


——


酒場のカラウィンには、エヴァと男の子が一緒にご飯を食べている姿を眺めるヒナの姿。


(エヴァさん…私、どうしたらいい…かな?)

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