学園での記憶
モロは俯き、骸骨が収納された鞄を抱きしめながら、当てもなく彷徨っている。
家に帰れば、きっと家族に失望される。
禁術の恐ろしさを知らなかっただけなのに。
どうしてこうなったのか、彼は自問する。
浮かんでくるのはルミナス学園での記憶…
魔術は基本的に初等部に入学して、数ヶ月経てば自然と使えるようになる…それがこの国での常識だ。
魔術は各人に一つずつ使える能力であり、使うのには魔力を消費する。
例えば、ルミナス学園の学長は【時の魔術】を使い対象の時間を操作することができる。
モロがルミナス学園に入学して数ヶ月、周りの生徒が次々に魔術を習得する一方、モロは魔術が使えないでいた。
教室に移動する際…
「お前、まだ魔術使えないんだってな?!だっせ。」
モロは俯き、彼の発言を無視する。
「うん?なになに、俺の魔術見せて欲しいって?魔術が使えない…落ちこぼれの僕に、魔術を見せて欲しいって?!たく…しょうがねーな。」
彼は右手に魔力を集中させる。
ーその瞬間、モロは派手に転んだ。
「ははっ!おい、前を見て歩かないからだぜ!」
モロは屈辱でその場から動けないでいた。
魔術の授業にて…
「あの子。また見学してる!」
「ほんと。迷惑だから…さっさとやめてくれないかな?」
「はいはい…皆んな!ちゃんと集中しないと、あの子みたいになるわよ!」
教室にて…
「ねぇねぇ…まだ魔術使えないの?」
「魔術が使えないま?!」
「魔術使えなくて草なんよ。」
モロは当てもなく彷徨った。
「僕はただ、すごいって…褒めて欲しかっただけなのに。」
それすら望んではいけないのではないかと思うほど、彼の学園時代の経験は、壮絶なものだった。
自然と涙が溢れてくる。
地面にうずくまるように膝をつき、泣きじゃくる…
ふと、頭上に冷たくて、硬い何かが触れた。
それは、人の手のような…しかし何かが違う、そんな感触。
涙を拭き、顔を上げる。
そこには…何もなかった。
こんなところで泣いてても仕方がない。
彼がそう思うに十分なほど、その手のような感触は彼に勇気を与えた。
彼はその重い腰を上げ、辺りを見渡す。
ここは路地裏のようだ。日中にも関わらず、薄暗い。
ー突然、路地裏の奥から悲鳴が聞こえた。
「た、たすけてくれぇー!」




