表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/35

禁術、それは

チュンッチュンッ—


「うん…はぁ〜。」


モロはいつもより深い眠りにつくことができた。


いつもなら憂鬱な朝だが、彼の表情は希望に満ちていた。

 

カタッ—


鞄の中から音がし、その鞄に目を向ける。


(もう少しだ!もう少しで皆から...)


「モロー!起きなさーい!」


母親の声が、階下から聞こえた。



パクッ!


食卓の席につき、朝食のパンにかぶりつく。


もぐもぐ・・・


「今日は…なんだかご機嫌ね。」


「ふふっ…分かる?実は僕...いや、やっぱりなんでもない!」


「なーにー、気になるわね...ま、元気そうでよかったわ!最近、なんだか元気がなさそうだったから...」


(ふふっ。それも今日まで、だよ!)


——


ご飯を食べ終え、バラバラになった骸骨が入っている鞄を持ち、玄関の扉を開ける。


「行ってきまーす!」


「はい!行ってらっしゃい!」


外に出て、早速鞄を開けた。


シュッ!


そこには骸骨の頭や胸部が所狭しと詰まっているそれに、手をかざし、魔術を唱える。


カタッ—


カタカタッ—


カバンが発光し、バラバラだった骨同士が結合していく。


次第に人の形を成していき、


カタッ…


カタ…


光が消え、音が止むと、そこには骸骨が彼を見下ろし、命令を待つように佇んでいた。


「ついてきて!」


カクッー


それは頷き、彼の後ろを着いてくる。


——


普段はうつむきがちな登校時だが、今日は周りがはっきりとよく見える。


ざわ...


ざわ...


校門前に着くと、次第に周りの生徒がざわつき始めた。


(みんな驚いてる!そうだよ。僕、こんなすごい魔術が使えるんだ!)


心の中でそう繰り返し、周りの生徒を横目に、学園の入り口を目指す...



学園の校舎前で、担任の教師がその姿を凝視し、呆然と立ち尽くしていた。


「先生!おはようございます!見てください、これ!」


普段自分から挨拶なんてしないモロが、自慢げに後ろの骸骨を指さす。


カチッ―


カチカチ―


何かが揺れる音がし音のする方を見ると、先生のメガネがかちかちと音を立て、震えていた。


その目はモロの嬉しそうな顔ではなく、骸骨をしっかりと捉え...


「…終わった…私のクラスから……き…禁術を…」


カチ...


やがて音が止み、先生が後ろに倒れた。


その背後には、とてもヒトを見るとは思えない目を向け、その姿を見つめる教師たち。


——


気づけばモロは椅子に座っていた。


(ここは、職員室...なのか?)


ひっ!


突如大きな怒鳴り声が聞こえ、とっさに耳をふさぐ。


廊下側の窓をみると、生徒からの冷たい視線がこちらに降り注がれた。


(もう、何も見たくない...聞きたくない!)


目を伏せ、頭を抱き抱え、頭の中でそう唱える。


「チッ、ちゃんと聞いているのか?!」


がばっ!


モロの頬を掴み、顔を近づけ、睨む教師。


「お前は禁術も知らないのか?!全く非常識なやつだ!

 お前みたいなやつがこの学園にいたなんて...学園の恥だ。

 いいか禁術というのはな!」


禁術とは何か、そのことを長々と説明する教師。


魔術協会、使用禁止、危険思想、死者への冒涜――


聞き慣れない言葉が次々と、モロの耳に叩きつけられる。



ガラガラ!


ガミガミ..


扉を開けるような音が聞こえ、突然、怒号が止んだ。


「が、学長!」


そこに目を向けると、大きなとんがり帽子をかぶり、長いひげを蓄えた老人。


ルミナス学園学長が状況を確認するように、二人を見ている。


「そのものが禁術を使った生徒かの?ふむ…お主は下がっておれ。」


学長はモロの前に座ると、俯く彼の頭を撫でた。


「やれやれ…怯えきっておるではないか。」


温かく、自然と安心できる大きな手。


「…当然の報いじゃ。」


その手が遠ざかっていく...


「お主には即時退学を命じる!二度とこの学園に足を踏み入れるな!」


モロは俯きながら、骸骨の入ったカバンを片手に、学園を去った。


「よろしいのですか…学長。その…魔術協会の到着を待つべきでは?」


「よい…魔術協会には…あの子の家に向かうよう言っておる。」


「は、はぁ…しかし...」


「禁術……のう。」


学長はどこか遠い空を見上げ、つぶやいた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ