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ヒナの葛藤・前編

時は遡り、モロが退学した直後のルミナス学園では、生徒とその保護者が呼び出され、緊急の三者面談が行われていた。


酒場のカラウインを夫と営むカーラと、その娘のヒナも例に漏れず、長方形の机が、横に三列、縦に十列ほどある教室にいた。


「お母さん……お店、大丈夫?」


(他の生徒を待っていたら…もうこんな時間。)


緊急ということもあり、学園全体が上手く回っておらず、保護者を呼び出したのにも関わらず、その保護者たちを待機させている状態だった。


「あらー?心配してくれてるのー?いい子ねー。そうねー。私も、ちょっと心配だわー…。」


その学園の教室から差し込む光はオレンジがかった赤色をしている。


ちょうど今頃、店には人が集まり始める時間帯だ。


「それにしてもー。ほんとに急ね。何かあったのかしらー?」


「”禁術”を使った生徒が…いたんだって。」


「それは大変ねー。禁術…ねぇ。久しぶりに聞いたわー。」


(禁術なんて、そんなに危ないものなの?はー。帰りたい…)


机に肘をつき、退屈そうにするヒナ。



「ヒーナちゃん!終わったよ!」


ビクッ!


「ご、ごめん!…驚かせちゃった?」


背後から声をかけたのは、ヒナの親友のミミだった。


「ミミちゃん。ううん、大丈夫だよ。それより、どうだった?」


「うーんっとね。難しくて、よく分かんなかった!」


「ふふっ。」


「ミミ!人の話はよく聞きなさいって、いつも言ってるでしょ!」


ミミの保護者らしき、初めて見るその女性にヒナは少し緊張した。


「ふふ。あなたが、ミミちゃん?ヒナからいつも聞いてるわー。」


「すみません…うちの子が、いつもお世話になってます。」


「こちらこそですよー。ミミちゃん、とっても元気でいい子ねー。」


大人達の会話が始まり、ヒナがミミに話しかけようとした、その時——


「ヒナさーん!と、その保護者さん!いらっしゃいますかー?」


クラスの担任、ヨーコ先生が教室の扉を開け、ヒナ達を呼び出した。


「あ、それじゃ……またね。」


「うん!またね!」


ミミに別れを告げたヒナは、カーラと共に、その女教師の元に向かった。


——


案内されたのは、来賓用の部屋で、トロフィーや賞状が飾られている。


中央のガラスの机を挟むように、赤色のソファーが置かれていた。


「すみません…バタバタしちゃってて。どうぞ!お座りください!」


ボフッ


そのソファは、まるで巨大なぬいぐるみに座っているかのような、初めて触れる感触だった。


「いいえー。先生方も、大変ですねー。禁術を使う生徒がいたなんて…。」


「そうなんです。なので…改めて、保護者の方も含めて、注意喚起をしようって、学園の会議で決まりまして…。」


「それと…ついでに、お子さんの成績とかも…お伝えできればと思ってます。」


ギクッ!


ソファの感触を楽しんでいたヒナは、その言葉を聞いた瞬間、背中が寒くなる感覚を覚えた。

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