武器・後編
魔術修練場では、モロと骸骨が、二人揃って、トランプを眺めていた。
「投げ方か…力一杯投げるのがダメ…なのかな…。」
(でも…それじゃ、どうすればいいんだ?力を抜くって、どうやるんだ……?)
そして、あちこち触りながら、的に当てる方法を模索した。
「そもそも、この角を持つのは…正解なのかな?」
それの側面を片手で掴むようにして持ち、まるでボウリングのボールを投げるように、一回転させてから投げてみた。
シュー……パタン。
初めは勢いよく飛んで行ったそれだが、回転が強すぎたのか、軌道がブレて、的の手前で力尽きるように落ちた。
「違うなー。次は、こうだ!」
今度はそれを下から掴み、紙飛行機を飛ばす要領で投げた。
スー……パタン。
そのトランプは緩やかに進み、今度は真っ直ぐ飛んだが、勢いが足りず、やはり床へと滑り落ちた。
「うーん…これも違う。そもそも、あの的に届かない……鉄だからかな?いや、何かあるはず…だよね。」
「……あ!そうだ。ドリューさんは…投げ方がダメって言ってたんだ!」
突然閃いたかのように、改めて親指と人差し指で挟むように持った。
「投げ方…投げ方…上から投げると、絵柄の部分に力が加わるから…真っ直ぐ飛ばないのかな…。」
もう一度骸骨に大きく振りかぶらせてから、投げさせると、そのトランプの軌道をよく観察した。
ボテンッ。
「やっぱりだ。角の部分に力を与えないとダメ…ってことだ!」
角に力を加える…そのヒントを頼りに、様々な投げ方を模索した。
——
「や…やったぁ!」
ついに、そのトランプを的に勢いよく当たることに成功した。
「骸骨さん…やったね!もう一回、見せて!」
骸骨は左の腰にあるトランプケースから、右手の親指と人差し指で角の部分を持ち、的を目掛け、横から投げた。
ピュー……
それは、左に膨らみながら、弧を描くように進んだ。
ズサッ!
的の中心から離れてはいるものの、そのトランプは勢いを無くすことなく、的に当たった。
「これだ!投げ方は…これだったんだ!後は…的に正確に当たるだけ…ま、それが一番難しいんだけどね…ははっ。」
骸骨と目を合わせ、喜びを分かち合った後、さらなる課題が見え、乾いた笑いが出てしまった。
「僕も、この杖を、まだ正確な場所に飛ばさないし…でも、一歩前進…だよね!」
—
骸骨とモロは二手に分かれ、別々の練習をした。
ジー……トンッ!
ピュー……ズサッ!
モロは、仕込み杖のグリップ部分を、正確な位置に当てる練習を。
骸骨は、鉄製のトランプを、狙った場所に投げる練習を。
側から見れば、少年と、その少年より二回りほど大きい仮面を被った大人が、並んで練習している光景に見えた。




