武器・前編
便利屋ドリュー、モロの自室。
そこには、椅子に座り、デスクライトの明かりをつけ、骸骨と話をするモロがいた。
「骸骨さん!それでね、ヒナちゃんって子と一緒に特訓したらいいじゃない!ってエヴァさんが言い出してさ。その子は学園に通ってるから…いつになるかは分からないんだけど……楽しみだなぁ!」
骸骨に、酒場で起きた出来事を楽しげに話すモロ。
「君の武器…ドリューさんが用意してくれるって言ってたけど、どんなのになるのかな…。」
「あ!もうこんな時間だ…それじゃ、骸骨さん。おやすみ。」
ふと、壁に立てかけている時計を見ると、二十二時を回っていた。
——
翌日、魔術修練場では、骸骨の武器を用意したドリューが待っていた。
「モロ!君の骸骨に持たせる武器…僕が、知り合いから譲り受けた武器…それが、これだ!」
自信満々に、その武器を片手に持ち、モロに見せつけるドリュー。
「えー!どれですか?早く見たいです!」
片手のそれが武器だと思わず、辺りをキョロキョロと見渡した。
「だ、か、ら、これだよ、これ。」
「ドリューさんが持ってるのって…ただの…トランプの入れ物じゃないですか!それより、武器はどこですか?骸骨さんの…」
「モロ。君には、この武器の素晴らしさが分からないのか…まぁ、無理もない。どれ、少し、持ってみるかい?」
「ははっ、まさかー。これが武器なんて……うっ…お、重たい…。」
彼に手渡された、そのトランプケースは、見た目からは想像できないほどの重量だった。
「それもそのはず。その中には、鉄製のトランプが、五十三枚も入っているからね…。」
「て、鉄製のトランプ?!」
「その骸骨になら…もしかしてと思ったんだが、どうだい?」
「が、骸骨さん…」
魔術を使い、骸骨を動かすと、鉄製のトランプがたくさん入っているにも関わらず、軽々と持ち上げた。
そのトランプケースは、背面にベルトフックがついており、骸骨のスーツのベルトに、うまく装着することができた。
「こ、これが…武器。確かに、鉄だから…武器になるのか?」
「その通り。では早速、その的に思いっきり投げてみてくれ!」
トランプケースを開け、片手でトランプを一枚取り出した。
「あの的に……よし…てりゃ!」
親指と人差し指で持ち、大きく振りかぶり、力一杯、叩きつけるように投げた。
ボテンッ
乾いた音を立てて、絵柄の面が床に叩きつけられる。
「あれー?おかしいな…的を狙ったつもりなのに…」
「モロ。その武器は、骸骨ぐらいしか扱えないから…僕が口出しすることではないと思うんだけど…そうだな…。」
「トランプの”投げ方”を工夫してみたら、いいと思うよ。」
「”投げ方”?」
モロにアドバイスをし、颯爽とその場を去った。




