酒場のカラウィン・後編
酒場のカラウィンでは暖かな明かりが灯り、もうすぐ店仕舞いだというのに、残っているお客は酔っ払っており、帰る気配がない。
「もう!大人なのにー、そんなになるまで飲むなんて。ほら、これでも飲んでー…」
酔っ払いに水を飲ませ、介抱するカーラ。
「おーう…悪りぃーな。カーラさん…」
「カーラ。甘やかすのも良くない。おらおら!もう店仕舞いだ!起きろー!酔っ払いどもー!」
優しく帰宅を促すカーラとは違い、半ば強引に店から追い出すウインズ。
「…もうそんな時間か。ったく、楽しい時間はあっという間だな…」
酔っ払いたちが次々と、店を出ていった。
——
「さぁ!私たちも、帰りましょうか。」
「はい!…美味しかったなぁ…これで…明日からも……」
エヴァに促され席を立ったエディだが、厨房の扉を少し開け、覗き込むようにこちらを見つめる少女と目が合った。
「…あら?ヒナちゃん!そんなとこで、どうしたの?」
「……エヴァさん。今日も来てくれたんですね。」
扉から顔を出したヒナは、黒髪のミディアムヘアで、そこに青いメッシュが入っていた。
左目の下には小さなほくろ。
さらに、青色のミニスカートのメイド服という、両親とは正反対の派手な服装だ。
「ヒナちゃん。紹介するわ!昨日から入った、エディよ。」
「え、エディ…だよ。よろしく…ね。」
彼女のその服装に、少し照れながら自己紹介をしたエディ。
「……よろしく。…私と年は…同じくらい?…魔術は?あなたは、どんな魔術を使うの?…エヴァさんのとこに入ったってことは…強いの?あまり強そうには見えないけど…。」
「ちょ…ちょっと…質問が多いよ…。」
顔を近づけ、畳み掛けるように質問をするヒナに、後退りした。
「こーら、ヒナ!初対面の人にそんな態度…いけません!」
酔っ払いの相手が終わり、カーラは彼女の態度を叱ると、彼女は不満そうな顔をした。
「…ごめん。私、魔術を上手く使えなくって…。つい…。」
「ヒナはねー、【花吹雪の魔術】を使うんだけど…学園の、実戦科目が…あまり良くなくって…」
「…僕も…まだ…上手に使えないよ…」
「そうなの?!」
目を輝かせ、エディの顔を見つめた。
(な、なんで嬉しそうなんだ…)
「ヒナちゃん!実戦のことなら、私が教えてあげてるんだから…絶対良くなるって!……そうだ!エディと一緒に特訓するっていうのは…どうかしら?」
「ちょ…ちょっと、エヴァさん?!…な、何を言っ…」
「あらー。いいじゃなーい!」
「よろしく…エディ…君。」
「こ、こちらこそ…ははっ。」
ヒナがそっと手を差し出し、エディもそれに応え、優しく握手をした。
「エヴァ…本当、ありがとうねー。この子には…強くなって欲しいの。…最近、この街も物騒…でしょ?それに、”禁術”を使う子が、この子の通う学園でいた…らしいし…」
ビクッ
「…どうしたの?…エディ君?」
手を握りながら、小首を傾げるヒナ。
「任せて、カーラさん!あなたとこの店には、お世話になってるし!」
「ふふっ。そう言ってもらえて、よかったわー。」
—
(なんか、とんでもないことになった…ような?でも、やることは変わらない…よね。)




