酒場のカラウィン・中編...?
モロとエヴァが、共にカラウィンへ向かう最中、彼の部屋では、仮面の骸骨が佇んでいた。
(………)
(………私は……一体……何を…)
意識がまだ朦朧としている。
(………私は……確か……”あの国に”…)
自分が誰なのか、まだはっきりと思い出せない。
(……っく……)
体を動かそうと、腕に力を入れるが、指先一つ動かない。
(………あの子の……魔術…なら…)
目線も動かせず、彼が眠っていたベッドを見つめ続けていた。
——
……ぶほっ!
酒場のカラウィンで、豪快に酒を煽る彼女を見つめ、自身もジョッキに注がれたぶどうジュースを一気飲みしようとしたが、豪快にむせた。
「あははっ!エディ!そんなジュースも一気飲みできないなんて、まだまだね!」
「…むぅー。」
恥ずかしさから、少しずつそのジュースを飲んだ。
—
「…あらあらー、こぼしちゃったのー?」
カーラと呼ばれていたその人は、麻素材のブラウスにロングスカートを履いた、優しそうな女性だ。
「す、すみません!」
その女性に布巾を渡され、急いでテーブルを拭いた。
「いいのよー。ゆっくり飲んでねー。あの人たちは、お行儀が悪いだけだからー、真似したら、めっ!だからねー。」
「…ちょっと!カーラさん?誰が、行儀が悪いですって!」
「は、はい!」
「ふふっ、いい返事!いい子ねー。」
エヴァの小言を受け流したカーラさんに、頭を撫でられた。
―
夕日が沈み、カラウィンはたくさんの人が訪れ、ほぼ全ての席が埋まっていた。
「うーん!やっぱり、ここの料理は美味しいわね!ほら、エディも!遠慮なんてしないで!」
「…いただきます!」
律儀に両手をあわせ、目の前に出された料理に口をつける。
その料理は、酒場という場には珍しく、肉が均等に切り分けられ、周りに野菜が添えられていた。
「おいしい!」
料理を食べながら、辺りを見渡すと、自分と同い年くらいの女の子が店の切り盛りをしながら、時折、こちらを気にしている様子が、目に入った。
「…あの子が気になる?あの子はヒナちゃん。あなたとい…じゃなかった。…ルミナス学園に通ってて、たまに、この店の手伝いもしてるの。」
「す、すごい……僕は…あの学園に…通うだけでも…精一杯だったのに…」
エディは思いつめたような表情で、その料理を食べた。
―
ピンッ
「いてっ!」
エヴァが身を乗り出し、人差し指と親指を使い、エディの額にデコピンをした。
「エディ!誰かと自分を比べないの!」
「誰かと…比べない…」
「そう。誰かと比べても…いいことなんて、ないわよ?それに…今から、あなたがやろうとしてることは、あなたにしかできないこと…でしょ?」
「は!」
改めて、自身の目標を思い出した。
(…禁術を使って、いろんな人を助ける。)




