酒場のカラウィン・前編
エヴァに手を引かれ、魔術修練場を出ると、仮面の骸骨を自室に置いてくるように言われ、自室に向かった。
「が…骸骨さん。ちょっと行ってくるね!」
そういうと、慌ただしく彼女の元へ急ぐモロ。
——
「ドリューさん?」
扉が並ぶ廊下でたまたまドリューと出会った。
「やぁモロ。依頼人との話が終わってね。君の様子を見に行こうと思ったんだが、エヴァが先に行っていたようだね。」
「そ、そうなんです。どこかに連れて行ってくれるらしいんですけど…。」
「ふふ…どこに行くかわからないのか。彼女らしい強引さだ。ところで…その杖を武器にしたんだね。」
モロが片手で持つ、仕込み杖を指差した。
「はい!この杖…初めは不良品かと思ったんですけど…慣れるといろんなことができるなって思って!……なんですけど…まだ、骸骨さんの武器が決まってなくって…」
「ふむ。あそこにある武器では、しっくりこないか……分かった。その武器なら、”あて”がある。楽しみに待っておくといいよ。」
「あて?」
小首を傾げたモロだが、エヴァを待たせていることを思い出し、その場を後にした。
——
「来たわね。それじゃ、行きましょう!」
彼女と向かった先は、昨夜、エヴァとシンバが決闘した、酒場のカラウィンだった。
「…モロ。仮にもあなたは”追われてる身”なんだから、外にいる間は、偽名を使うわよ。」
誰にも聞こえないように、静かな声で耳打ちする。
「…ぎ、偽名って…ど、どんな名前がいいのかな…」
「…そんなの適当でいいのよ。…私が決めてあげましょうか?……そうね…エディ、どうかしら?」
「…エディ、今日から僕はエディ…」
「…あくまで外にいる間だけ。分かった?エディ。」
—
「マスター!今日も来たわよー!」
偽名が決まると、カラウィンの扉を勢いよく開け、店主との会話を楽しむエヴァ。
モロは辺りを眺めた。
カラウィンは、日が落ちかけていることもあり、すでに半分ほど席が埋まっていた。
「お?昨日も来てた。あー。名前、なんていったっけ?」
エヴァとの話が終わると、隣で居づらそうにしているモロに話しかける店主。
「…エディです。よろしくお願いします。」
「エディか。俺は、ウインズだ。この店の店主をしている…よろしくな!にしても、そんな若くでドリューに認められるなんてな。」
—
「ちょっとー、あなたー!これから忙しくなるんだからー、早く手伝ってちょうだーい!」
店の厨房の方から、女性の声が聞こえてきた。
「すまん、カーラ!」
慌てて厨房に向かうウインズ。




