魔術修練場・後編
「はぁ…とんでもない目に合った…」
グリップ部分が無くなった、歪な形のそれを見て、ため息が漏れた。
「…でも……」
改めて、壁に立て掛けられた武器を眺める。
モロの体格と合う武器は、この変な杖くらいだった。
「そうだよね…これしかないよね……」
床に落ちるそれを拾うと、
ギュッ
自分の小さな手で感触を確かめるように握り、その武器と向き合うことにした。
——
ジー—
魔術修練場にて、仕込み杖の機能を確認する。
「…だいぶ分かってきたぞ!」
上シャフトの二つのボタンは、シャフトとグリップを射出する機能が備わっていた。
射出された部分は細いワイヤーで繋がっており、
もう一度同じボタンを押すことで杖の方向に戻り、連結することができる。
ガリリッ—
「……よし。これなら間違えない…よね!」
分かりやすくする為、手袋を外した、骸骨の鋭い指を使い、シャフトのボタンにA、グリップのボタンにBと刻んだ。
(ドリューさん…疑ってごめんなさい…。)
「この武器と…この魔術があれば…きっと…みんなの役に立つことができる!」
仕込み杖と仮面の骸骨を見る。
「…これを使って僕は、犯人を捕まえるんだ!」
人型の模型に向けAのボタンを押し、シャフトを射出する。
カンッ!
「あ、あれぇー?」
次の瞬間、シャフトは人型の模型から大きく離れ、壁に激突した。
「も、もう一度!えい!」
今度はグリップ部分を強く握り、シャフトの角度を調節しボタンを押す。
ガンッ—
ガガガ——
しかし、そのシャフトは床を滑るように、見当違いの方向に飛んでいく。
——
その後も試行錯誤を繰り返したが、中々模型に当てられないでいた。
「……そうか!この部分の方が重いから、調節が難しいんだ!」
そういうと、握っていた手をグリップからシャフトに持ち直す。
「こっちなら…えい!」
グリップを人型の模型に向け、Bのボタンを押した。
ジー…
トンッ!
そのグリップは勢いよく直進し、その模型にヒットした。
「…や、やったぁー!」
「見た?!骸骨さん、見ててくれた?!」
ただ佇むだけの仮面の骸骨。
どうしても喜びを共有したいのか、それに自慢した。
「よし!僕の武器はこれで決まり!今度は…」
「君の武器なんだけど…何がいいかな…」
——
カツッ—
カツッ―
「…モロ!頑張ってるじゃない!でも、もう夕方よ。そろそろ切り上げても、いいんじゃないかしら?」
「エヴァさん!そうですね……でも…まだ…」
骸骨の武器が決まっていないのが心残りで、まだその場を離れようとしない。
「…モロ。焦るのは分かるけど、無理は良くないわ。さぁ!着いてきなさい!」
「ちょ…ちょっと…エヴァさん?」
半ば強引に手を引かれ、彼女についていく…




