魔術修練場・前編
仕事部屋を出て、雑然と扉が並ぶ廊下をしばらく歩くと、
どこに繋がっているのか、想像もつかない下り階段が現れた。
カツッ―
カツッ―
その階段を降りると
―
「こ…ここは!」
巨大な地下空間が現れる。
円形の的、人型の模型が等間隔で並び、槍や剣、斧や弓などのオーソドックスな武器から、今のモロでは、使い方が想像できない不思議な武器など。
様々な武器が壁に立てかけられていた。
「ここを僕達は、”魔術修練場”と呼んでいる。今日から、自由に使ってくれて構わない。」
「ここを…自由に…!」
ルミナス学園にいた時、同じような設備を見たことがある。
しかし、魔術を使えないモロは、その利用を禁じられていた。
「僕はこれから、エヴァと共に、依頼人と合わなければいけない。分からない事があれば、依頼室に来るといいよ。」
「分かりました!」
——
魔術修練場に、少年と仮面の骸骨。
「……な、何から始めようかな。うーん。でも、まずは…」
壁にある武器を眺めた。
「武器から、だよね!」
「かっこいいのがいいなぁ。……あっ!これだ!」
自分の身長ほどの長い剣を手に取る。
「お…重い……」
膝をピクピクと痙攣させた。
「こ…これはダメだ…」
「が…骸骨さん…ぱ…パス。」
魔術を使い、仮面の骸骨に持ってもらい、壁に戻す。
「ふぅ。…やっぱり、自分が使いこなせるものじゃないと…」
(昨日のシンバさんのように、自分の能力に合った武器…)
「うーん。……といっても…」
壁の武器を見渡し、
「自分に合った武器って…なんだぁ?!」
——
その後も、武器を一個ずつ試した。
「これなんて、いいんじゃない?」
そのうちの一つ、丸いグリップの杖を持つ。
「これで…悪い犯罪者を…」
その杖を力強く持ち、
「ドーン!…ははっ。なんてね!これでどうやって…」
勢いよく振りかぶった。
―
カランッ
「な、なんだ…これ?」
モロの持つその杖は、シャフト部分が細長い剣になっていた。
「レイピア。っていうんだっけ?こんな武器もあるんだ…」
「…うーん?改めて見ると、この杖、なんか変だな…。」
その杖のグリップとシャフトを繋ぐ、上シャフトに奇妙な二つのボタンを見つけた。
「…押してみようかな。」
「でも…もし、とんでもないことが起こったら…いや、挑戦してみないとね!」
「念の為……」
杖を振りかぶった時に抜け落ちた鞘をシャフトにはめた。
「よし。やるぞ!」
「えいっ!」
覚悟を決め、力強くボタンを押す。
「がはっ!」
その瞬間、杖のグリップが自分のお腹目掛け射出され、持っていた腕と共に激突した。
「…はぁっ…な…なんで……?」
「ま…まさか、ドリューさんの…悪戯?」
そんな様子を静かに見守る、仮面の骸骨。




