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黒幕

次で最終回です!!

「て感じであなたの依頼通り武人達は御代家管轄の使用人になったわ」

「……そうか」



 安堵したのか、武人達が通う財前高等学校警護科の学科長加々山源作は息を漏らす。


「協力感謝する。芳澤興花」

「いいわ気にしないで!武人は一番からかい甲斐があるから居なくなったら悲しいもの! これは私のためにやった事でもあるのよ!!」

「そう言ってくれると助かる。学校側に武人が目を付けられている状況を脱するために骨

を折った甲斐がありました」


 武人は警護科内でその素行と成績と悪さが教師らからかなり問題視されている。

 しかし素行や成績の悪い人間は武人の他にも多数存在する。今年のクラス編成で武人と同じクラスに編成された人間がそうだ。

 何故武人だけがここまで問題視されるのか、それは彼が不良特区出身だからである。


『不良特区で育った人間はまともじゃないと考えろ』


 この日本で生きていれば誰もが必ず聞く言葉である。

 社会化からつまはじきにされた者、裏社会の人間、凶悪な犯罪者や脱走犯が数多く住む不良特区は最早日本の中にあって日本とは隔絶されていると言っていい。当たり前のように危険ドラックや少年少女の売春が蔓延っているのは勿論区内での殺人は日常茶飯事。デストピアと化しているそこは警察などの治安組織でも手を出すの難しくせいぜい毎日のように起きている犯罪のいくらかを取り締まるのが関の山である。


 当然こんな場所に住む少年少女はまともな教育を受けられないため常識が乏しく、酷け

れば一般的な倫理観も欠如している。

 こうした背景があるため不良特区出身の子供は区外では白い目で見られ危険分子と扱わ

れるのだ。

 素行と成績の悪さが不良特区出身という事実の裏付けとなり最悪の相乗効果を生み出し

た結果が現在教員達が武人に抱く印象である。


 しかし今回の一件で問題は一気に解決へ向かう。

 武人が資産家自ら目を付けたボディガードとなった事で学校側が除籍処分を下す危険性が消えたのだ。

 今回の一連の騒動を裏で手引きをしていたのは源作と興花だった。

 源作は武人達の部屋を訪れた際、彼らが瑠々を匿おうとしている事を把握した。そしてすぐにそれを利用した計画を思いつき興花に携帯でメールで協力を求めた。


彼女に協力を求めたのは武人らが間違いなく彼女に協力を依頼する事が予測出来たからだ。

 武人らと行動を共にする興花を協力者として引き入れる事で源作の作戦は軌道に乗る事が出来た。

 そして無理やり瑠々達を外に連れ出した興花とメールでやり取りをしながら逐一武人達の状況を確認、良いタイミングで源作は彼らの居場所の情報を匿名で警察と御代家のボディガードに流した。御代家のボディガードを武人に倒させ、警察に迅速な包囲網を形成させるためだ。


 興花はすぐに動く事の出来る腕の立つ殺し屋を雇い瑠々と明良の二人を拉致、存在しない、勿論取引場所に来もしない架空の相手に引き渡し、そこで金を受け取るよう依頼した。

 あまりに突発的な依頼に最初は乗り気で無かった殺し屋は提示された多額の前金に加え成功報酬はその倍出すという言葉が決め手になり依頼を受けた。

 こうして瑠々と明良は拉致され、武人達は警察に捕まった。そこから作戦は次の段階へ

移行したのだ。


 頼紋昌義、芳澤興花の側近である彼は彼女の命令を忠実に実行する。興花の手引きで昌義は武人達同様に警察に捕まえられ、彼女の命令に従い瑠々の現在地点がおかしい事を知らせるようわざと相馬が渡したGPSレーダーを落とした。

 更に、遊園地の入退場口での包帯ぐるぐる巻きの男は昌義が扮装したものだ。武人があの場を強行突破しない抑止力とするために遊園地内で武人らと別れた後、興花は武人達に昌義は捕まったと嘘をついたが実際は入場口の方へと先回りし警察へ紛れ込んでいた。七権者の娘である彼女だからこそ出来た力技である。

 瑠々が誘拐された事を知った武人達はすぐに警察署を脱走し彼女を助けに行った。脱走が可能なように天井にダクトの通気口ががある牢を手配したのも興花だ。


 二人を救出させ、武人達を御代家のボディガードにするように仕向ける。これが源作が

描き彼と興花が実行した計画の全貌だ。


 だが、この計画にはいくらか欠陥があった。


 もし武人達が瑠々を助けに行くという選択をしなかったら。

 もし瑠々と明良が武人達をボディガードだと主張し警察側に冤罪を求めなかったら。

 この二つの点により源作の計画は簡単に破綻する可能性が存在した。

 しかし源作と興花には成功する確信があった。

 基本バカでクズだがいざという時どんな状況だろうが躊躇わずに誰かを助ける奴だという事を。そして周囲を巻き込み騒動を起こす彼が関わった周りを人間の心を開かせる事を知っていたからだ。武人と一年程関わっているのは伊達ではない。

 だから彼らは計画の欠陥点に何の不安も持っていなかったのである。


「まぁ、優佳と相馬も巻き込んでしまった形になってしまったが・・・」

「それはまぁ、この一年で二人も大分武人に染まったから仕方ないわね!」


 源作の言葉を興花は一蹴した。


「しかし、良かったのか?」

「ん?何が?」

「武人を自分のボディガードにしなくて良かったのかって事だ。今までしなかったからす

る気は無い事は知っているが」


 そう、興花は武人達を大層気に入っている。武人が巻き起こす騒動に首を突っ込み楽し

むきらいがある。しかしそれにも関わらず彼女が武人達を自分のボディガードにする気配

は一向に見えなかった。武人を芳澤家で雇ってくれれば最初からこんな面倒事になってい

なかっただろうと、源作は心底思っていた。


「分かってない!それじゃあ面白くないじゃない、武人とは今の関係が一番面白のよ!」

「そういうものか」


 源作は興花の嗜好を理解は出来なかったが納得した様子を見せた。

ここまで読んでいただきありがとうございます!


よろしけれ新連載を始めたのでそちらも読んでいただけると嬉しいです!


パーティーから追放された魔力ゼロのお荷物冒険者、十年の時を経て再会したヤンデレ気質の幼馴染達に求婚を迫られる~幼馴染達がSランク冒険者や立派な令嬢に成長した中、俺だけ【ワケアリ】になっていた~

https://ncode.syosetu.com/n1186gl/

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