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誰が運転するんだ?

『いいか、外へ出たら最短距離で俺の車のところへ行け』


 一行は栄治の指示で警察署外部駐車場に駐車してある栄治の車の元へ走った。


『俺の愛車を傷つけんなよ。まだローン残ってんだから』


 車のカギは先ほど栄治が昌義を収監した際に監視カメラの死角になるような位置に落としていた。それを栄治が合図、つまり看守室の番が代わり栄治が通信で武人たちにGOサインを出した瞬間に拾っただけである。


『栄治、サンキュな』

『うっせぇ。ンな事言う暇あったら無事帰ってきて金出世払いで払う事だけ考えろ』


 武人が感謝を述べると栄治は突き放すような口調で喋りすぐに通信が切られた。


「へへっ」


 皮肉の利いた言い方に武人は思わず武人は笑ってしまった。


「っし行くぞお前ら!!」

『応ッ!!』


 こうして一行は瑠々の元へと向かう事になり一致団結の掛け声を唱えた時、その中の一人がある疑問をポロリと口にした。 


「そういえば誰が車を運転出来るんだ?」


 昌義の何気ないその一言で、一同が「あっ」と声を漏らした。


『……』

「よーっし任せろぉー」

「待てやおい!!」


 沈黙の最中それを破った武人が運転席に乗ろうとしたのを昌義が強引に引き留めた。


「放せ!『沿岸ミッドナイト』で鍛えた俺のドラテク見せてやるよ!!」

「余計放せねぇなぁ!?運転開始一分で壁に激突する俺達の姿が容易に浮かぶぜおい!」

「なら、俺が」

「相馬か、まぁお前は機械強いから運転も「『頭文字E』で鍛えたドラテクを」ってマテェイ!?」


 相馬が武人とは違うアーケードゲームの名前を出した瞬間昌義はものすごい形相で彼を睨みつけた。


「お前らの運転はとりあえず全く信用出来ない!!とりあえずてめぇらは後部座席に座ってろ!!」

「なら優佳かお前が運転すんのかよ昌義?」

「お前ら、俺たちより運転が出来るとは思えない」

「いや何でお前らはゲームしかやってないのにそんな自信満々なんだよ?」

「お前ら言い合ってる場合じゃないぞ。時間が無いんだ!」


 三人の言い合いは全く以て時間の無駄だ。それを指摘する優佳の声に三人は押し黙る。


「……はーっ……仕方ねぇな」


 昌義は溜息を吐くと運転席に乗り込んだ。


「乗れ、お前ら。俺が運転する」


 その発言に武人は首を傾げた。


「あぁ?だから誰も運転出来ねぇからどうすんだって話じゃなかったのかよ?」

「出来る」

「え?」

「だから出来るんだよ。お嬢様の側近として色んなこと叩き込まれてるからな。車の運転もその内の一つだ。お嬢様の家の敷地で無理やり覚えさせられた」

「「「……」」」


 昌義の言葉にその場の昌義以外の三人はジト目で昌義に視線を捧げた。


「っし、行くぞお前ら」

「「「出来んなら最初から言え!!」」」

「ってぇ!?何すんだ!!」


 武人、相馬、優佳の叱咤と共に浴びせられたゲンコツに昌義は痛みの声を上げた。

 昌義が最初から自分が運転できることを告げていれば無駄な時間は発生しなかった。三人はそう考えていたため思わず手が出たのだった。


「「「うるせぇさっさと走らせろ!!」」」

「は、はい……」


 三人の勢いに圧され委縮した昌義はハンドルを握りしめ車を発進させた。


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